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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「心の地図」

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 (原題:Map of the Human Heart)92年作品。1931年、地図を作るためイヌイット(エスキモー)の村にやって来た英空軍のウォルターはアヴィックという土地の少年と仲良くなるが、アヴィックは結核にかかっており、モントリオールの病院に運ばれる。そこで白人とインディアンの混血の少女アルベルティンと親しくなるが、修道尼バンヴィルによって仲を裂かれる。成長したアヴィックは彼女を探すためカナダ空軍に志願。手がかりは彼女が口ずさんでいた歌だけだ。北極、カナダ、ロンドン、ドレスデンと舞台は広がり、彼はアルベルティンと十数年ぶりに再会を果たすが、戦争の影は二人の甘い期待を押しつぶしていく・・・・。



 イヌイットの青年と混血の娘の愛を、30数年にわたって描く大河ドラマ。題材も面白そうだったが、スタッフの豪華さが目を引く。製作は「ワールド・アパート」のティム・ビーヴァン、撮影はエドゥアルド・セラ、音楽がガブリエル・ヤレド、SFXが「エイリアン」のリチャード・コンウェイ。アヴィックに扮するのはジェイソン・スコット・リーだが、アルベルティンを演じるのはアンヌ・パリローで、ジャンヌ・モローやジョン・キューザックも顔を出すというのだから、面白くなって当たり前というような映画だ。

 しかし・・・・。観終わって、ホント怒ってしまった。全然面白くない。原因は監督だろう。ニュージーランドの新鋭ヴィンセント・ウォードの演出はメリハリがほとんどない。漫然と脚本を映像に写しかえているだけで、ドラマとしての盛り上がりに欠ける。ここが自分が描きたい、というポイントが見えてこない。

 たとえば、ロンドンのアルバート・ホールの屋上で二人が密会する場面、飛行船の上で抱き合う場面、アルベルティンと結婚したウォルターの嫉妬、爆撃後の地獄のようなドレスデンで戦争の真の悲惨さを主人公が知る場面。しかるべき監督が撮ったら、それこそ感動的に観客をノセてくれるところだが、そんなことはまったくなし。まるで安手のTVドラマのように平板な画面が流れるだけだ。

 取って付けたようなラストも感心せず、チンケな特撮が興ざめ。監督の好みらしい幻想的なイメージ・ショットが随所に挿入されるが、これが全然絵になっていない。何より、主人公二人の激しいパッションが感じられない(彼らが子供の頃の場面の方がまだマシである)。なお、私は本作を第6回東京国際映画祭で観たのだが、一般公開時には話題にもならなかった。

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