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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「エドワードII」

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 (原題:EDWARD II )91年イギリス作品。シェークスピアと並び称される英国の作家クリストファー・マーロウの戯曲の映画化。ゲイの恋人とともに迫害されていく悲劇の王の姿を描く。ただしデレク・ジャーマン監督作品らしく、衣裳と舞台装置は現代で、セリフだけは原作通り。凝りまくったライティングに男の裸が跳梁跋扈するという、独特の映像が展開する。

 でも、正直言って、どこがいいのかさっぱりわからない。こういう舞台設定にすることで何か意味があるのだろか。いきなりアニー・レノックスが出てきて歌を歌う場面も意味不明。主演の男(スティーヴン・ウォーディントン)は別に美しくもセクシーでもない。ピーター・グリーナウェイ監督のように自らの美学を波状攻撃で仕掛けてくる大胆さもなく、画面には隙間風が吹きまくり、寒々とした印象しか受けない。

 でもひょっとしたら、こういうのが案外凄い芸術なのかもしれない。芸術はあまりに高尚になると、私のような凡人には理解できない次元に突入すると言われている。そういえば、当時この映画について書いてあった評論家連中の文章も、高尚すぎて何を言いたいのか全然分からなかったことを思い出す(苦笑)。

 さて、私はこの映画を封切り時(92年)に渋谷にあったシネマライズという劇場で観ている。ハッキリ言って、この小屋は私は好きではなかった。まず、非常に分かりにくい場所にある。そしてチケットを切る場所ってのが、非常に足場の悪い階段の途中にある。しかも階段にはワックスか何かがしっかり塗ってあって、これは危ないのではないだろうか。

 劇場の中はというと、黒一色で何やら怪しげな雰囲気。よく見るとコンクリート打ちっぱなしの壁面を黒くペイントしていて、しかも、椅子は見た目はスタイリッシュだが硬くてすぐお尻が痛くなるし、照明は場末のキャバレーみたいに薄暗い。これらはバブル以前のDCブランド専門のブティックの雰囲気と一緒で、作った当時は目新しかったのだろうが、その頃すでに場違いな感じを醸し出していた。やがてミニシアターのブームも去り、2016年に閉館してしまう。よく“興行は水もの”と言われるが、映画館自体のスタイルも栄枯盛衰は付き物だということか。

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