95年作品。遊園地を舞台に、8組の男女が繰り広げる恋愛模様。コラムニストの清水ちなみが一般女性からのアンケートを基に編纂した同名エッセイの映画化で、監督は当時「ゴジラ」シリーズを経て“便利屋監督NO.1”(なんじゃそりゃ)との異名をとっていた大森一樹。
正直言って、全然期待していなかった。いかにもお手軽そうな雰囲気と、トレンディ・ドラマ俳優総出演の感があるキャスト。期待しろと言う方が無理だ。
しかし、これが意外と面白いのだ。まず脚本がいい。8組のカップルをオムニバス風に連続して描くのではなく、相手が入れ替わったり別の事件を引き起こしたりと、けっこう複雑に入り組ませている。他の例で言えば「パルプ・フィクション」とか「エドワード・ヤンの恋愛時代」等と似た手法の群像劇だが、当然それらほど完成度は高くはないものの、観客を置いてけぼりにさせない程度に抑えていて好感が持てる。
その頃テレビでお馴染みだったキャストを揃えて、映画ファンをシラけさせると思いきや、けっこう配役が適材適所だったりする。演技力が心もとない若手は、それなりの役しか与えられておらず、決して背伸びさせない。少しは演技ができる中堅の俳優は、それぞれちょっとした見せ場を与えられているが、節度を守っている。無理のないキャスティングはスリルはないものの、こういう作品にはピッタリだ。それでも、女刑事の鈴木京香と結婚サギ師の野村宏伸とのやり取りなど、少し意外性があって楽しめた。
そしてカメラが遊園地の中からほとんど出ないのも正解だ。舞台を少し非日常的な場所に設定しておけば、少々の気恥ずかしい演技・演出も笑ってすまされる。加藤雅也と山口智子の昼メロ風展開だろうが、瀬戸朝香と森且行の学芸会みたいな恋愛ごっこだろうが、水野美紀に一目惚れした館ひろしの暴走だろうが、なぜか許してしまうのだ。
タイトル通り、ラストはほとんどの登場人物が失恋して終わる。「第三の男」のラストを真似た鈴木京香と山崎直子のやり取りはご愛敬だったが、全体にアクのない作風で後味は悪くない。秀作でも佳作でもないけど、ヒマがあれば観ても損しない映画だ。
正直言って、全然期待していなかった。いかにもお手軽そうな雰囲気と、トレンディ・ドラマ俳優総出演の感があるキャスト。期待しろと言う方が無理だ。
しかし、これが意外と面白いのだ。まず脚本がいい。8組のカップルをオムニバス風に連続して描くのではなく、相手が入れ替わったり別の事件を引き起こしたりと、けっこう複雑に入り組ませている。他の例で言えば「パルプ・フィクション」とか「エドワード・ヤンの恋愛時代」等と似た手法の群像劇だが、当然それらほど完成度は高くはないものの、観客を置いてけぼりにさせない程度に抑えていて好感が持てる。
その頃テレビでお馴染みだったキャストを揃えて、映画ファンをシラけさせると思いきや、けっこう配役が適材適所だったりする。演技力が心もとない若手は、それなりの役しか与えられておらず、決して背伸びさせない。少しは演技ができる中堅の俳優は、それぞれちょっとした見せ場を与えられているが、節度を守っている。無理のないキャスティングはスリルはないものの、こういう作品にはピッタリだ。それでも、女刑事の鈴木京香と結婚サギ師の野村宏伸とのやり取りなど、少し意外性があって楽しめた。
そしてカメラが遊園地の中からほとんど出ないのも正解だ。舞台を少し非日常的な場所に設定しておけば、少々の気恥ずかしい演技・演出も笑ってすまされる。加藤雅也と山口智子の昼メロ風展開だろうが、瀬戸朝香と森且行の学芸会みたいな恋愛ごっこだろうが、水野美紀に一目惚れした館ひろしの暴走だろうが、なぜか許してしまうのだ。
タイトル通り、ラストはほとんどの登場人物が失恋して終わる。「第三の男」のラストを真似た鈴木京香と山崎直子のやり取りはご愛敬だったが、全体にアクのない作風で後味は悪くない。秀作でも佳作でもないけど、ヒマがあれば観ても損しない映画だ。