(原題:GUARDIANS OF THE GALAXY VOL.2 )面白いと思えなかったのは、何も前作を観ていなかったからではない。おなじみMARVELの作品ながら、設定自体が他のシリーズとは“一線を画した”ようなつまらなさ。大して工夫の無い筋書きを、狂騒的に粉飾してハデっぽく見せようとしているだけ。鑑賞後は疲労感だけが残った。
地球からやってきたピーター・クイルをリーダーとする宇宙のはみ出し者チーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”は、今日も某惑星の依頼によるモンスター退治を引き受け、小金を稼ごうとしていた。ところがメンバーの一人であるアライグマのロケットが、その惑星の貴重品を勝手に拝借してしまったことから、彼らは追われる身となる。膨大な数の敵艦隊が迫り絶体絶命と思われたとき、ガーディアンズを救ったのは“ピーターの父親”を名乗る謎の男エゴだった。
エゴが昔地球を訪れたとき恋人が出来て、その際に生まれたのがピーターなのだという。エゴは宇宙創成の頃から生きている“神”みたいな存在で、彼は自分の後を継いでくれる者としてピーターを指名したのであった。一方、ヨンドゥ率いる宇宙海賊や件の惑星からの追撃隊、さらにはメンバーのガモーラを付け狙う彼女の妹ネピュラなどもガーディアンズに迫り、彼らは四方八方からの敵に対峙するハメになる。
同じMARVELのキャラクターの多くが地球(現実世界)を舞台に活動しているのに対し、ガーディアンズの仕事場は宇宙である。つまりは現実との接点もギャップも無い“何でもあり”の作品世界で、こういうシチュエーションではよほど話が面白くないと楽しめない。しかし本作のシナリオは実に幼稚だ。
行き当たりばったりに見かけだけハデな登場人物を多数並べ、ワーワーギャーギャーと叫ばせて走り回らせることの繰り返し。そもそも、エゴがオールマイティの存在ならば、こんな七面倒臭いプロセスを踏まずにとっととピーターを拉致すれば良いではないか。しかも、意外な“弱点”もあるという設定には脱力するしかない。
ジェームズ・ガンの演出は平板で、全編を埋め尽くすギャグ(らしきもの)は全くウケず。CG満載の賑々しい画面や、アクション場面の段取り、さらにはメカ・デザインなども既視感があってシラけてしまう。
主演のクリス・プラットをはじめゾーイ・サルダナやデイヴ・バウティスタ、マイケル・ルーカーといった面々も、別に彼らでなくてもいいような役柄をこなしているのみ。シルヴェスター・スタローンとカート・ラッセルの扱いも大したことがない。エンド・クレジットの表記によれば次回作もあるようだが、私は観るのを遠慮したい。