90年作品。何とも珍妙なタイトルだが、実際に観てみると見事に“てなもんや”の部分と“コネクション”のパートが存在し、それが融合していることに驚き笑ってしまう。脚本家でもある宇野イサムの原作を映画化したのは山本政志監督で、彼のフィルモグラフィの中でも大きな存在感を見せる快作だ。
香港でガセネタ商売に明け暮れる李九扇はクイズに当たり、日本旅行をゲットする。しかし来日してみると迎えに来たのはデタラメな広東語しかできないクミという若い女。おまけに極端に経費を切り詰めたツアーで、宿泊はカプセルホテルに押し込まれる始末。何者かに荷物を盗まれてしまった九扇とクミは、その犯人のオバサン・茜となぜか意気投合。3人で東京ディズニーランドに行くはずが、手違いで目的地が浅草花やしきになってしまう。
そこで百万人目の来場客になってしまった彼らは、商品として“香港旅行ご招待”を獲得(爆)。九扇はクミや茜と共に香港に戻るが、いつの間にか九扇の家は日本の大企業による地上げのターゲットになっていて、理不尽な立ち退きを迫られることに。九扇たちは持ち前のバイタリティでこれに立ち向かう。
日本での珍道中を経て思いがけず香港に帰還するまでが言うまでもなく“てなもんや”編で、往年のテレビ番組「てなもんや三度笠」にも通じる関西風ギャグが大々的に散りばめられている。大企業とのバトルが展開する後半は“コネクション”編であり、「フレンチ・コネション」ばりのサスペンス・・・・は無いものの(笑)、国際的陰謀が登場する段になると、なぜか観る側はリッチな(?)気分になってしまう。
もちろんこの2つのネタは水と油であるはずだが、そこに違和感を抱かせないのが語り口の巧さであろう。それが顕著に現れるのが“コネクション”編では鈴木みち子扮するオバサンであった茜が、“コネクション”編になると室田日出男演じるオジサンに勝手に変身してしまうというモチーフだ。主要登場人物の外観を途中で大胆にチェンジするのは奇手だが、これが作品世界の変化の発火点になるように位置づけられているのは効果的である。
本作が製作されたのはバブル時代で、日本と世界との立ち位置が変わってきた時期だ。現在はまたそれから二転・三転しているが、そのパラダイムシフトを笑い飛ばしてしまおうという魂胆は悪くない。主演のツェ・ワイ・キットと新井令子は好演だが、それより目立っていたのが、地上げ屋の先鋒を務める英語ペラペラで国籍も分からないナゾの男。これが音楽も担当している近藤等則だというのだから面白い。
余談だが、私はこの映画を福岡市中央区天神にあった“西通りキノ”で観た。作品選定は先鋭的でコアな映画ファンに人気はあったのだが、設備面での不備が響いたのか、いつのまにか閉館してしまった。このエリア(天神西通りの南地区)には現在も映画館が存在していない。それを考えると寂しい気分になってくる。
香港でガセネタ商売に明け暮れる李九扇はクイズに当たり、日本旅行をゲットする。しかし来日してみると迎えに来たのはデタラメな広東語しかできないクミという若い女。おまけに極端に経費を切り詰めたツアーで、宿泊はカプセルホテルに押し込まれる始末。何者かに荷物を盗まれてしまった九扇とクミは、その犯人のオバサン・茜となぜか意気投合。3人で東京ディズニーランドに行くはずが、手違いで目的地が浅草花やしきになってしまう。
そこで百万人目の来場客になってしまった彼らは、商品として“香港旅行ご招待”を獲得(爆)。九扇はクミや茜と共に香港に戻るが、いつの間にか九扇の家は日本の大企業による地上げのターゲットになっていて、理不尽な立ち退きを迫られることに。九扇たちは持ち前のバイタリティでこれに立ち向かう。
日本での珍道中を経て思いがけず香港に帰還するまでが言うまでもなく“てなもんや”編で、往年のテレビ番組「てなもんや三度笠」にも通じる関西風ギャグが大々的に散りばめられている。大企業とのバトルが展開する後半は“コネクション”編であり、「フレンチ・コネション」ばりのサスペンス・・・・は無いものの(笑)、国際的陰謀が登場する段になると、なぜか観る側はリッチな(?)気分になってしまう。
もちろんこの2つのネタは水と油であるはずだが、そこに違和感を抱かせないのが語り口の巧さであろう。それが顕著に現れるのが“コネクション”編では鈴木みち子扮するオバサンであった茜が、“コネクション”編になると室田日出男演じるオジサンに勝手に変身してしまうというモチーフだ。主要登場人物の外観を途中で大胆にチェンジするのは奇手だが、これが作品世界の変化の発火点になるように位置づけられているのは効果的である。
本作が製作されたのはバブル時代で、日本と世界との立ち位置が変わってきた時期だ。現在はまたそれから二転・三転しているが、そのパラダイムシフトを笑い飛ばしてしまおうという魂胆は悪くない。主演のツェ・ワイ・キットと新井令子は好演だが、それより目立っていたのが、地上げ屋の先鋒を務める英語ペラペラで国籍も分からないナゾの男。これが音楽も担当している近藤等則だというのだから面白い。
余談だが、私はこの映画を福岡市中央区天神にあった“西通りキノ”で観た。作品選定は先鋭的でコアな映画ファンに人気はあったのだが、設備面での不備が響いたのか、いつのまにか閉館してしまった。このエリア(天神西通りの南地区)には現在も映画館が存在していない。それを考えると寂しい気分になってくる。