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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「レヴェナント:蘇えりし者」

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 (原題:The Revenant)本作で念願のオスカーを獲得したレオナルド・ディカプリオの演技は、確かに見応えがある。また、エマニュエル・ルベツキのカメラが捉えた厳しくも美しい自然の風景は、高く評価されてしかるべきだ。しかし、その2点を除けばこの映画は大して上等だとは思えない。無駄に長い上映時間も含めて、マイナス要因が多すぎる。

 1823年、西部開拓時代のアメリカ北西部。極寒の中で毛皮を採取しようとした狩猟チームはインディアンの襲撃を受けて、多数の犠牲者を出しながらも命からがら船に乗り込み、川を下る。その中のひとりで道案内役のヒュー・グラスは、ネイティヴアメリカンの妻との間にできた息子のホークを連れて参加していた。船を捨てて山に入った一行だが、見回りに行ったグラスは熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。彼らは何とかグラスを運ぼうとするが、足手まといになることは確実。隊長のアンドリュー・ヘンリーはグラスの最期を見届けて埋葬するためにホークとジョン・フィッツジェラルドそして若いジム・ブリッジャーを残し、軍基地への行程を急ぐ。

 ジョンはグラスを亡き者にしようとするが、その現場をホークに見つかり、彼を殺してしまう。ジョンは事実を知らないジムをだましてグラスに軽く土をかけただけでその場を離れる。息子の死の一部始終を見ていたグラスは危篤状態だと思われたが、奇跡的に一命をとりとめ、傷ついた身体を引きずりながらジョンを追う。実話に基づくマイケル・パンクの小説の映画化だ。

 あの時代にロクな治療も受けられず、山中に放置された重傷者が生還するとは俄かに信じがたい。それ以前に、グラスが置き去りにされる経緯やホークが殺されるプロセス、ジムがジョンの言い分に疑問を抱くようになるくだりが、何とも無理筋である。

 さらには七転八倒しながら荒野をさまようグラスが、どのようにして回復していくのか、そのあたりがまるで説明不足。常識で考えれば、冷たい土の上で一晩過ごしたり、厳冬の川に飛び込んだりした時点で即あの世行きだと思うのだが、作者は“実話なんだから納得しろ”と言わんばかりの態度を崩さない。

 グラスの過去に関する映像がフラッシュバックとして挿入されるが、これが思わせぶりで何が言いたいのかよく分からず、グラスがいつの間にかネイティヴアメリカンの長老の娘を救っていたという話も御都合主義である。極めつけは、逃げたジョンを終盤追跡するのがグラスとヘンリー隊長の2人だけという点。武装したならず者を追いつめるには、もっと人数を集めるべぎだろう。

 斯様に要領を得ない話を延々と2時間半以上も見せられると、いい加減ウンザリしてくる。もっとコンパクトに要領良く仕上げられなかったのだろうか。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの演出は、形而上的なネタに酔いしれるばかりでテンポが悪い。形振り構わぬ熱演を見せるディカプリオも、何となく宙に浮いた感じになっている。坂本龍一の音楽は可もなく不可も無し。鑑賞後の疲労感は大きかった。

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