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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

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 (原題:Buena Vista Social Club )99年作品。公開当時には“こだわりの強い映画ファンや音楽ファン”(?)の間で話題になったドキュメンタリー作品で、私も(ミニシアターとはいえ)満員の劇場で鑑賞したことを覚えているが、印象は芳しくない。ただ、絶賛している向きもあったようなので、観客を選ぶ映画だというのは間違いないようだ。

 著名なギタリストのライ・クーダーが90年代半ばにキューバに旅行した際、地元の超ベテランのミュージシャン達とセッションを行ったことがきっかけとなり、97年にアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」をリリースする。キューバのミュージシャン達を同行したワールド・ツアーも組まれたが、この映画はその模様と参加メンバーの日常の活動を追っている。



 とにかく展開が退屈だ。監督はヴィム・ヴェンダースだが、80年代までは才気煥発だった彼もこの頃はすでに調子を落としていた。描写に力がなく、映像構成も平凡。映画として盛り上がるようなエピソードも組み込まれていない。とにかく、鑑賞中は眠気を抑えるのに必死だった。

 ところで、この映画を楽しんだ観客はキューバ製のポップスに慣れ親しんでいた層であったことは想像に難くないが、あいにく私はこの手のサウンドに興味はないし、ライ・クーダーの音楽の熱心な聴き手でもない。しかし“興味の持てない題材だから、映画としてもつまらない”という論法で片付けるわけにもいかない。たとえ門外漢の観客であっても、観ている間だけはその題材に引き付けてしまう力技を発揮するのが、映画作りの醍醐味というものだ。

 ところが、この映画はそのあたりの工夫が皆無である。要するに“キューバ製ポップスを紹介するだけで喜んでしまう観客”のみを念頭に作られており、幅広い層を対象にできるだけの訴求力を当初から埒外に置いている。これでは評価するわけにはいかない。

 なお、2015年に続編の製作が発表されている。すでに完成したのかどうかは分からないが、別の監督(「ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡」のルーシー・ウォーカー)が担当しており、違うテイストの作品に仕上がると予想する。評判が良ければ観るかもしれない。

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