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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「メモリーズ 追憶の剣」

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 (英題:Memories of the Sword )主演のキム・ゴウンとかいう女優がダメだ。とにかくルックスが冴えない。呆れるほどの不美人である。ならば演技が上手いのかというとそうでもなく、一本調子で表情も乏しい。彼女がスクリーンの真ん中に出てきた時点で、鑑賞意欲が大いに減退する。かつては上玉の女優が揃っていた韓国映画界も、30歳以下にはロクな人材が育っていないようだ。

 高麗末期。ユベク、ウォルソ、プンチョンの3剣士は、民衆を率いて強権的な政府に対して反乱を企てる。しかしユベクの裏切りにより計画は失敗に終わり、プンチョンは殺されウォルソは人々の前から姿を消す。18年後、体制側に寝返っていたユベクは国で最も重要な役職に就いていた。ある日、自身が主催した武術大会で彼はウォルソの面影を残した少女を見つける。ユベクは彼女の素性を探ろうとする。

 見かけは昔香港あたりでたくさん作られていた剣劇ものと同じで、ワイヤー・アクションをフィーチャーした立ち回りには新鮮さのかけらも無い。監督のパク・フンシクは奇を衒った意匠を並べているが、それでも単なる“カッコ付け”にしか見えず、画面が賑やかになるほどシラけた雰囲気が漂ってくる。

 しかも、3剣士が活躍する場面とユベクが強権を振るっている時代とが脈絡も無く交互に展開。作っている側としては工夫したつもりだろうが、いたずらに時制をバラバラにしてしまうと、観る方はストレスがたまるばかりだ。結果、登場人物達には全然血が通わず、全員が自分の思うところを勝手に叫んでいるに過ぎないという事態に陥っている。加えて主演女優がああいう有様なので、途中でどうでもよくなってきた。

 ユベクを演じるのは最近悪役が板に付いてきたイ・ビョンホンだが、ルックスはさておき、演技面で特筆すべきものはない。ウォルソ役のチョン・ドヨンはさすがに芸達者ながら、上手くない脚本と凡庸な演出に足を引っ張られて、彼女の良さが出ていたとは言い難い。ヒロインを助ける若い武者が出てくるが、演じているのが2PMとかいうアイドル・グループのジュノなる男。別にアイドルだからダメだと言うつもりはないが、役柄自体が“いてもいなくても、どうでも良い”というレベルで、加えて監督の演技指導が行き届いていないせいか、見事な大根である。

 それにしても、中国に題材を取った史劇とは違って朝鮮半島を舞台にした歴史物はイマイチ盛り上がらない。それは、この地域の歴史に大して興味を惹かれるポイントが無いせいだろう。中国や日本などの近隣国との関連性でしか語られない歴史など、重みも面白さも希薄だ。韓国製ドラマでよく取り上げられる王朝時代の話はほとんどがフィクションらしいが、さもありなんといった感じである。

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