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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アトランティス」

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 (原題:ATLANTIS)91年フランス作品。「グレート・ブルー」(88年)「ニキータ」(90年)のリュック・ベッソン監督が送る海洋ドキュメンタリー作品。ベッソンは今は“終わってしまった”作家だが、この頃は快作を連発していた。このようなマニアック(と言っていいのかな)な作品が公開されるのは、フランス映画界きってのヒット・メーカーだったベッソン監督の実績があったに違いない。構想に10年かけたという。

 こういう映画はえてしてメッセージ性が強くなりがちだと思う。いわく“海はこんなに美しいものですよ。だから環境問題に関心を持ちましょう”とか、“海の中の生物が見せる驚くべき生態”とかである。ま、この映画を観て何を感じようと個人の自由だが、私は作者の“海が好き”という単純明解な気持ちが最大限にあらわれた作品であると思う。よけいなことを考えずに、ひたすらこの美しい映像にひたっていたい。



 エリック・セラ(ベッソン作品ではおなじみ)の音楽が実に素晴らしい。ディズニー「ファンタジア」の海洋版を意図した部分もあるらしい。映像を先に撮影し、それに合わせた音楽を作曲または既成曲をあてはめるという手法を採用している。アラブ風のサウンドに乗って泳ぐウミヘビ、ロックのビートで跳ね回るアシカの群れ、マリア・カラスの歌うアリアに合わせてゆうゆうと泳ぐマンタ、拍手する観客を連想する小魚の大群、すべてがこれ以上にないと思わせる映像と音楽のマッチングである。

 カメラはラストを除いて一度も水の中から出ることはない。上下左右・自由自在に動くカメラワークは、あるときはさわやかな高原の朝を、あるときは無限の宇宙空間を、またあるときはうっそうとしたジャングルの奥地を、海の中の風景から抽出させることに成功している。撮影に要した時間は38か月、潜水海域は10か所。使ったフィルムの量は膨大なものになったという。

 さて、この映画を観た当時の友人たちの感想だが、“すばらしかった”という意見を期待した私をあざ笑うかのように“あー、途中であまり気持ちがよくって寝ちゃったよ”というのがほとんど。映像処理に目を奪われて寝るどころか息もつけなかった私はいったい何だ?(大笑)

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