(原題:The Wanderers )79年作品。この頃一時的に流行った“不良少年映画”(?)の一本で、出来としては大したことはないのだが、いくつか興味深い箇所がある。その意味では“観る価値は無し”と片付けたくはない。
63年のニューヨークのブロンクス。若造どもはそれぞれの人種ごとにグループを作り、互いに張り合っていた。その中でもイタリア系の“ワンダラーズ”は、誰しも一目置く存在だった。リーダーのリッチーは17歳ながら頭が切れて統率力があり、しかも二枚目だ。ある日、メンバーのジョーイとターキーが全員坊主頭の狂的な集団“フォルダム・ボルディーズ”に絡まれてピンチに陥ってしまう。絶体絶命の危機から二人を救ったのが、ペリーという大男だった。それがきっかけで、ペリーはワンダラーズの一員になる。
ワンダラーズの面々は学校でも黒人グループと対立。あわや流血騒ぎになるところを、リッチーはギャングのボスに取りなしてくれるように依頼し、ケンカの代わりにフットボールの試合が行なわれることになったが、事はそう上手くは運ばなかった。
監督は何本か秀作・快作を撮ったフィリップ・カウフマンだが、この映画での演出は平凡だ。キャラクターの描き方は奥行きが浅く、ドラマ展開もスムーズではない。活劇場面が優れているわけでもなく、各シークエンスは間延びしている。それでも観て損はないと思ったのは、まず当時のブロンクスの雰囲気が良く出ていたことだ。もちろんリアルタイムで知るはずもないが(笑)、たぶんこういう場所だったのだろうと納得させるだけのエクステリアを備えている。
そして音楽の使い方の上手さ。お馴染みのディオンのヒット曲をはじめ、当時の楽曲が効果的に流れている。主演のケン・ウォールはなかなか良い面構えで、これ以後出演作が続くのだが、あるトラブルからキャリアが停滞してしまったのは残念である。ヒロイン役にカレン・アレンが出てくるが、この頃は初々しい。
それにしても、後半にボルディーズの連中が海兵隊にスカウトされてしまうのには、何とも言えない気持ちになった。貧富の差が激しくなり、社会の底辺を這いつくばるしかない若造どもに用意されたのは兵役であったという不条理。これはいわば“経済的徴兵制”ではないだろうか。今も彼の国では似たような状況だろうし、この日本にもその構図は現出しようとしている。現政権の掲げる“一億総活躍社会”とは、ある意味これなのかもしれない。
63年のニューヨークのブロンクス。若造どもはそれぞれの人種ごとにグループを作り、互いに張り合っていた。その中でもイタリア系の“ワンダラーズ”は、誰しも一目置く存在だった。リーダーのリッチーは17歳ながら頭が切れて統率力があり、しかも二枚目だ。ある日、メンバーのジョーイとターキーが全員坊主頭の狂的な集団“フォルダム・ボルディーズ”に絡まれてピンチに陥ってしまう。絶体絶命の危機から二人を救ったのが、ペリーという大男だった。それがきっかけで、ペリーはワンダラーズの一員になる。
ワンダラーズの面々は学校でも黒人グループと対立。あわや流血騒ぎになるところを、リッチーはギャングのボスに取りなしてくれるように依頼し、ケンカの代わりにフットボールの試合が行なわれることになったが、事はそう上手くは運ばなかった。
監督は何本か秀作・快作を撮ったフィリップ・カウフマンだが、この映画での演出は平凡だ。キャラクターの描き方は奥行きが浅く、ドラマ展開もスムーズではない。活劇場面が優れているわけでもなく、各シークエンスは間延びしている。それでも観て損はないと思ったのは、まず当時のブロンクスの雰囲気が良く出ていたことだ。もちろんリアルタイムで知るはずもないが(笑)、たぶんこういう場所だったのだろうと納得させるだけのエクステリアを備えている。
そして音楽の使い方の上手さ。お馴染みのディオンのヒット曲をはじめ、当時の楽曲が効果的に流れている。主演のケン・ウォールはなかなか良い面構えで、これ以後出演作が続くのだが、あるトラブルからキャリアが停滞してしまったのは残念である。ヒロイン役にカレン・アレンが出てくるが、この頃は初々しい。
それにしても、後半にボルディーズの連中が海兵隊にスカウトされてしまうのには、何とも言えない気持ちになった。貧富の差が激しくなり、社会の底辺を這いつくばるしかない若造どもに用意されたのは兵役であったという不条理。これはいわば“経済的徴兵制”ではないだろうか。今も彼の国では似たような状況だろうし、この日本にもその構図は現出しようとしている。現政権の掲げる“一億総活躍社会”とは、ある意味これなのかもしれない。