昭和42年作品。いかにもB級サスペンスといった作りだが、富本壮吉の演出はテンポが良く、映像はキレがあるし、何より話が面白い。コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)の小説を「雁の寺」などの舟橋和郎が脚色したものだ。
真鍋藍子はサラリーマンの夫が浮気しているのではないかと思い、興信所に調査を依頼。結果、夫はキャバレーの女・麻美と懇ろな仲になっていることが判明した。直談判しようと麻美のアパートに押しかけた藍子だが、そこで見つけたのは彼女の死体だった。夫に嫌疑がかかることを避けるため、夫の名前が載っていた手帳を奪って部屋を出た彼女だが、やがて夫は殺人容疑で逮捕される。彼の無実を信じる藍子は、手帳に名前が記載されていた4人の男のうち誰かが犯人ではないかと疑い、刑事の忠告も聞かずに独自に捜査を始めるのであった。
ウールリッチの原作「夜の天使」は読んでいないが、事件の関係者がやむなく探偵役を買って出るという、彼の作品に共通したモチーフはここにもあらわれている。藍子は4人に身分を偽って接近し、そのたびに大変なことに巻き込まれ、あやうく命を落としそうになる。それでも全く懲りずに事件の真相に迫ろうとするのだから、まさに浮世離れしたバイタリティだ(笑)。
しかしながら、演じているのがこれまた浮世離れした美貌の持ち主である若尾文子なので、あまり違和感はない。要するに“スターを引き立てるための映画”なので、細かいことは言いっこなしである(爆)。考えてみればかなり無理筋のストーリーだが、面倒くさい筋書きはヒロインのモノローグが勝手に語ってくれる。
ラストでは意外な犯人が姿をあらわし、藍子は絶体絶命のピンチに陥る。それでも“たぶん大丈夫だろう”と安心して観ていられるのは、さすが若尾御大の存在感だ。他の出演者では、軟派なプレイボーイに扮する船越英二が最高。人を食った登場の仕方といい、並外れた馴れ馴れしさといい、まさに圧巻だ。成瀬昌彦や南原宏治といった面子も胡散臭くて良い。当時の東京の歓楽街や団地の風景なども興味深いものがある。
真鍋藍子はサラリーマンの夫が浮気しているのではないかと思い、興信所に調査を依頼。結果、夫はキャバレーの女・麻美と懇ろな仲になっていることが判明した。直談判しようと麻美のアパートに押しかけた藍子だが、そこで見つけたのは彼女の死体だった。夫に嫌疑がかかることを避けるため、夫の名前が載っていた手帳を奪って部屋を出た彼女だが、やがて夫は殺人容疑で逮捕される。彼の無実を信じる藍子は、手帳に名前が記載されていた4人の男のうち誰かが犯人ではないかと疑い、刑事の忠告も聞かずに独自に捜査を始めるのであった。
ウールリッチの原作「夜の天使」は読んでいないが、事件の関係者がやむなく探偵役を買って出るという、彼の作品に共通したモチーフはここにもあらわれている。藍子は4人に身分を偽って接近し、そのたびに大変なことに巻き込まれ、あやうく命を落としそうになる。それでも全く懲りずに事件の真相に迫ろうとするのだから、まさに浮世離れしたバイタリティだ(笑)。
しかしながら、演じているのがこれまた浮世離れした美貌の持ち主である若尾文子なので、あまり違和感はない。要するに“スターを引き立てるための映画”なので、細かいことは言いっこなしである(爆)。考えてみればかなり無理筋のストーリーだが、面倒くさい筋書きはヒロインのモノローグが勝手に語ってくれる。
ラストでは意外な犯人が姿をあらわし、藍子は絶体絶命のピンチに陥る。それでも“たぶん大丈夫だろう”と安心して観ていられるのは、さすが若尾御大の存在感だ。他の出演者では、軟派なプレイボーイに扮する船越英二が最高。人を食った登場の仕方といい、並外れた馴れ馴れしさといい、まさに圧巻だ。成瀬昌彦や南原宏治といった面子も胡散臭くて良い。当時の東京の歓楽街や団地の風景なども興味深いものがある。