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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ホワイトアウト」

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 2000年東宝作品。国産の“スペクタクル的なアクション巨編(?)”としては、まとまった出来だと思う。真保裕一による原作から冗長だと思われる箇所をカットすると共に、新たなモチーフを映画向けに設定する等、工夫をしている点は認めたい。

 新潟県にある奥遠和ダムは、日本有数の貯水量を誇る巨大ダムだ。猛吹雪に見舞われた12月のある日、ダムの運転員である富樫は遭難者救助の為に悪天候の中を出発するが、同僚の吉岡を亡くしてしまう。それから2か月後、吉岡の婚約者であった千晶が奥遠和を訪れた。ところがその時、ダムがテロリストに占拠されてしまう。



 犯人グループは、職員達と千晶を人質に取って大金を政府に要求。言うことを聞かなければ、ダムを爆発して下流域に大洪水を発生させると通告してくる。悪天候で警察も近づけない中、偶然ダムから出られた富樫は外部との連絡を取った後、人質を救うために奥遠和ダムへ戻り、果敢に戦いを挑む。

 武装したテロリストに対する富樫のアドバンテージは、雪山に関する知識と経験のみ。それを最大限に生かした筋書きはけっこう見せる。犯人グループの中に富樫に与する者がいたという設定は御都合主義的に思えるが、極限状況の中にあってはあまり気にならない。中盤以降は多少展開がバタバタする点もあるものの、敵の首魁が車椅子に乗っているという設定(これは原作にはない)は、行動を制約するという点で出色だ。

 監督はこれが劇場用映画デビュー作となった若松節朗だが、これ以降の彼の作品よりもマシな仕上がりだ。寒々とした風景が広がる中においては、主演の織田裕二の暑苦しさ(笑)も幾分中和されて程良い塩梅になっているのはポイントが高い。テロリストのリーダー役の佐藤浩市も、エキセントリックな悪玉を楽しそうに演じている。

 欲を言えばシネスコ画面で撮ってほしかったが、TVディレクター出身の若松監督にとっては荷が重かったのかもしれない。考えてみれば、このような大がかりなクライム・アクションは邦画ではあまり見かけなくなってしまった。テレビの刑事ドラマのスピンアウトでお茶を濁すよりも、映画独自の題材の方が訴求力が高い。もっと思い切った企画を提示してほしいものである。

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