(原題:Sin City:A Dame to Kill For )前作に比べると、大幅に落ちる出来。この続編が作られたのが前回から時間がかなり経ってからであり、(キャストの入れ替えなどもあって)インパクトの強さを持続出来なかったことが一番の敗因だろう。やはり映画製作にはタイミングが大事である。
悪党どもが跳梁跋扈する街、シン・シティ。ストリップバーの看板ダンサーのナンシーは、前作で交際相手の刑事ハーティガンを自殺に追いやった街の支配者ロアーク上院議員に復讐するチャンスをうかがっていた。また、私立探偵のドワイトは昔の恋人エヴァから大富豪の夫のDVを打ち明けられ、義憤にかられる。しかし、実は悪いのはエヴァの方で、ドワイトを夫殺しに利用しようとしていたのだ。一方、若いギャンブラーのジョニーはロアークにポーカーで勝負を挑むが、反対に袋叩きに遭ってしまう。
パート1に引き続きフランク・ミラーのグラフィック・ノベルを映画化したものだが、ストーリーの整合性なんかハナから捨象しているのも同様だ。しかし、ここには筋書きのデタラメさをカバー出来るような濃いキャラクターも、斬新な映像処理も存在しない。
前回のイライジャ・ウッド扮する異形の殺し屋とか、ニック・スタール演じるバケモノに匹敵するような面子は現れず、映像ギミックも現時点で見れば手垢にまみれたようなものばかり。おまけにパート1で印象が強かったベニチオ・デル・トロやクライヴ・オーウェンは登場せず、マイケル・クラーク・ダンカンやブリタニー・マーフィはもういないし、デヴォン青木は産休中。
オーウェンの代打であるジョシュ・ブローリンはパッとせず、ブルース・ウィリスは幽霊役なので活躍出来るはずも無い(笑)。わずかに目に付いたのは相変わらず無手勝流のミッキー・ロークと、エヴァ・グリーンのハダカだけ(爆)。一応はヒロイン役のジェシカ・アルバも大して目立っていない。
斯様にキャストは大きく弱体化し、結果的に話自体の面白味の無さだけがクローズアップされることになった。これでは、ダメだ。もっと早い時期に、前作の配役を引き継いで“勢い”で作ってしまえば、まだ減点は少なかったと思われる。監督は原作のミラーとロバート・ロドリゲスのタッグだが、明らかに気が乗っておらず、凡庸な展開に終始。特にバトルシーンの芸の無さにはガッカリした。観る価値は無いと結論付けてしまおう。