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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「クロスロード」

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 (原題:Crossroads)86年作品。音楽にさほど興味の無い観客からすれば、まるで存在価値を見出せない映画。しかも、特定のジャンル(ここではブルース)に精通していないと面白味がなく、単なる“珍品”として片付けられても仕方が無い作品。反面、ツボにハマれば魅力的に映るという、ある意味カルト的な位置を占める異色作だ。

 ジュリアード音楽院でクラシック・ギターを学び、優秀な成績を収めていた少年ユジーンは、実は本当にやりたいのはブルースだった。伝説のブルースマンであるウイリー・ブラウンが近くに滞在していると知った彼は、ウイリーの元に押しかけ、弟子にして欲しいと申し出る。


 ウイリーは“ロバート・ジョンソンが30番目に作った曲”を知っていると言い、故郷のミシシッピー州ヤズーシティに連れて行ってくれるなら、その歌を教えると語る。こうして2人の旅が始まるが、途中でウイリーが昔悪魔と契約した十字路に着くと、スクラッチという悪魔が現れる。ユジーンはウイリーを助けるため、スクラッチの化身であるジャックというギタリストと勝負することになる。

 私は音楽は好きだが、ブルースに関しては疎い。しかも、ギターのテクニック云々といったことにも詳しくないので、本作の内容にはピンと来なかった。「クロスロード」といえば、クリームのナンバーにそんなのがあったことを思い出す程度だ。この映画のハイライトはユジーンとジャックとのギター対決だが、これが何とも珍妙で笑ってしまった。「8 Mile」におけるラップ勝負の方が、まだ分かりやすい。

 しかしながら、主人公の演奏を担当しているのがライ・クーダーで、ジャックに扮しているのがスティーヴ・ヴァイだ。彼らのブルースに対する思い入れが全面展開しているので、その手のファンにとってはたまらないだろう。

 ユジーンを演じているのがラルフ・マッチオだが、「ベスト・キッド」と似たようなパターンだと思ったら裏切られる(笑)。監督のウォルター・ヒルは「ストリート・オブ・ファイヤー」等で音楽の使い方が光っていたが、本作は自分の趣味に走りすぎである。なお、この映画は公開当時は「スタンド・バイ・ミー」との同時上映だった。たぶん多くの観客が“妙な併映作がくっついていた”と思ったことだろう(笑)。

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