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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「X−MEN:フューチャー&パスト」

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 (原題:X-Men:Days of Future Past )単なる“子供だまし”であった一作目と二作目の監督であるブライアン・シンガーが復帰したことで出来映えが危惧されていたが、実際観てみると一応は楽しめる内容に仕上げられているのでホッとした。もっとも、彼の監督としての腕前がアップしたわけではなく、この新作の設定自体が高い演出力を必要とはしていなかったことが大きいと思う。

 2023年。人類はミュータントを駆逐するために作られたロボット“センチネル”の暴走により、滅亡の危機に瀕していた。反目し合っていたプロフェッサーXとマグニートーも手を握って難局に対処しようとするが、事態を好転させることは出来ない。最後の手段として、人間の意識だけを過去に送る能力をもつキティ・プライドにウルヴァリンの精神を1973年に送り込ませ、事の発端となったミスティークによる要人殺害事件を阻止しようとする。果たして、人類滅亡までに“歴史”を変えてカタストロフィを回避させることが出来るのか・・・・というのが筋書きだ。

 要するに、シリーズの時制を前作「ファースト・ジェネレーション」のラスト近辺まで引き戻そうとしているのである。当然のことながら一作目から三作目までは“無かったこと”になってしまい、それに関わったブライアン・シンガー本人に“幕引き”をさせようとするのだから、何とも皮肉な企画だ(笑)。

 正直言って、タイムリミットが設定されている割には展開が“ぬるい”と感じるし、アクションシーンの段取りも(超高速移動能力を持つクイックシルバーの活躍場面を除けば)大したことは無い。そもそも、過去に飛んだウルヴァリン自身もあまり働いてはいないのだ(爆)。

 この映画の主眼は(前述のように)今までのシリーズをリセットすること、そして新旧のキャラクターをずらりと並べるという“顔見世興行”的なあり方だけなのである。ドラマ運びがどうの、キャラクターの内面描写がどうのといったことを論じるのはあまり意味があるとは思えない。気楽に接すれば良いのであろう。

 出演陣は実に多彩。このシリーズの看板になった感のあるヒュー・ジャックマンをはじめ、イアン・マッケランやパトリック・スチュアート、マイケル・ファスベンダー、ジェームズ・マカヴォイ、エレン・ペイジ、さらにはハル・ベリーやジェニファー・ローレンス、アンナ・パキンといったアカデミー賞受賞者までも顔を揃える大盤振る舞いだ。この面子を見られるだけでも作品をチェックする価値はある。

 かくしてシリーズは“仕切り直し”と相成ったわけだが、今後はやっぱり「ファースト・ジェネレーション」で健闘したマシュー・ヴォーン監督に引き続き担当してもらいたい。「キック・アス」と並ぶ代表作となること間違いないはずだ。

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