昭和34年大映作品。福岡市総合図書館にある映像ホール“シネラ”で上映された市川雷蔵特集の中の一本だ。雷蔵の映画とはいっても「眠狂四郎」シリーズみたいな切れ味鋭いものとは全く異なり(笑)、全編にわたって脱力系の“御座敷芸”が披露されるだけの作品。映画全盛期にはこういう趣向のシャシンも存在価値はあったのかもしれない。
舞台は狸の国で、カチカチ山の村娘お黒と狸御殿のきぬた姫が瓜二つだったことから起こる騒動を描いている。ハッキリ言って監督の木村恵吾もまともに映画作りをしているようには見えず、出演者に丸投げしているのがよく分かるような内容だ。登場人物がすべて狸であるというのも、送り手側の“マジメに観てもらっては困るよ”というエクスキューズとしか思えない。
ただし、お黒ときぬた姫の両方から好かれる隣国の若君狸吉郎に扮した雷蔵が歌って踊るシーンを延々と見せつけられると“まあ、いいじゃないか”という気分になってくるのも事実だ。やっぱり雷蔵にはスターのオーラがある。
相手役の若尾文子の美しさと存在感も見逃せないし、脇役に勝新太郎まで出てくるのだからちょっと嬉しくなる。ゲスト出演のマヒナスターズの面々もケッ作だ。
狸が主人公なので子供向けかと思ったら何やらお色気シーンもあるし、一体どういう層を対象にした映画なのかと考えてしまったが、タイトルの“初春”というフレーズで一応合点が行った。これはたぶん正月にオッサンどもが年始回りの帰り(?)にホロ酔い加減で観るシャシンだったのだろう(爆)。酒が入ったまま密度の濃い映画に接するのは確かにツラい。斯様なグダグダの内容の映画が丁度良かったのかもしれない。
舞台は狸の国で、カチカチ山の村娘お黒と狸御殿のきぬた姫が瓜二つだったことから起こる騒動を描いている。ハッキリ言って監督の木村恵吾もまともに映画作りをしているようには見えず、出演者に丸投げしているのがよく分かるような内容だ。登場人物がすべて狸であるというのも、送り手側の“マジメに観てもらっては困るよ”というエクスキューズとしか思えない。
ただし、お黒ときぬた姫の両方から好かれる隣国の若君狸吉郎に扮した雷蔵が歌って踊るシーンを延々と見せつけられると“まあ、いいじゃないか”という気分になってくるのも事実だ。やっぱり雷蔵にはスターのオーラがある。
相手役の若尾文子の美しさと存在感も見逃せないし、脇役に勝新太郎まで出てくるのだからちょっと嬉しくなる。ゲスト出演のマヒナスターズの面々もケッ作だ。
狸が主人公なので子供向けかと思ったら何やらお色気シーンもあるし、一体どういう層を対象にした映画なのかと考えてしまったが、タイトルの“初春”というフレーズで一応合点が行った。これはたぶん正月にオッサンどもが年始回りの帰り(?)にホロ酔い加減で観るシャシンだったのだろう(爆)。酒が入ったまま密度の濃い映画に接するのは確かにツラい。斯様なグダグダの内容の映画が丁度良かったのかもしれない。