2000年作品。近未来、全国の中学校の中から選ばれた一クラスに、脱出不可能な孤島で互いに殺し合いをさせる法律が成立。当事者になった生徒たちは必死のサバイバルに挑む。高見広春の同名小説の映画化で、監督は深作欣二。
言うなれば“ホームランになりそこなった大ファウル”ってとこだろうか。確かに深作御大、活劇シーンには抜群のキレを見せ、最後まで観客をグイグイ引っ張るパワーには瞠目すべきものがある。血ヘドを吐きながら死んでゆくガキどもの熱演もなかなか。特に“灯台の中の内ゲバ”のシーンは手を叩いて喜びたくなった(笑)。
藤原竜也や柴咲コウ、栗山千明、塚本高史、高岡蒼佑といった、その後活躍する若手を多数取り揃えているのもポイントが高いだろう。
しかし、どうも釈然としないものが残る。最大の敗因は、なぜ国家主催でガキどもに殺し合いをさせなければならないのかサッパリわからないこと。そんなことをすればますます若年層(そして父兄)の国家に対する反発を呼び起こし、国としては困ることにならないか? “全国の中学三年生のクラスを無作為に選んで・・・・”というのもワケが分からない。あえてやるとしたら、“凶悪犯ばかりの少年刑務所の受刑者クラス”の方だろう。
そもそも“互いに殺し合う”より、たとえば“対敵国への外人部隊への編入”なんかの方がよっぽど国益にプラスになり国民的コンセンサスも得られやすいと思う。それから、元教師がなんで“試合”の指揮を取っているのかも不明だし(戦闘のプロでもないのに)、二人の“転校生”がなぜ参加できるのかも不明。
エピローグでのビートたけしの扱いも消化不良で、ラストシーンに至っては“なんじゃこりゃ”である。このように、映画の設定そのものが実に脆弱であるから(もちろん“原作がそうなっているからしょうがない”なんてのは言い訳にもならない)、銃火器を素人が簡単に扱えるわけがないとか、“危険エリアがどうの”というネタがほとんど活かされていない等、本来あまり作劇上気にならないはずのアラが目立ってきてしまう。
その年の日本映画の中ではヴォルテージが高く、辛口のエンターテインメントに仕上がっていることは認めるものの、脚色のツメが甘いため決定打にはなり得ていない。実に残念である。
なお公開当時は中学生が主人公なのにR指定になったことが物議を醸したが、この内容ではR−15で当然だと思う。たとえR−18でもR−20(ねえって、そんなの ^^;)でも一向に構わない。こういう映画は「大人」が楽しむものだ(笑)。