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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「第21回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)

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 去る2024年8月2日から4日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきた。例年このイベントは3月から5月の連休の間に実施されていたが、本年は会場がその時期に工事中だったとのことで、この盛夏の時期に開かれる運びになった。

 とはいえ、今まで経験したことが無いほどの酷暑の中、市内中心部から離れた会場まで行くのは、見学者にとってかなりの難行苦行だったのは間違いない。かくいう私も、家に帰り着いた時には疲労困憊状態である(熱中症の一歩手前だったのかも ^^;)。その意味でも、現場で汗をかいていた各メーカーや輸入代理店のスタッフたちには“お疲れ様でした!”と言いたい。



 印象に残った製品としてまず挙げたいのは、MARANTZの新作アンプMODEL M1である。見た目は幅22センチ弱で高さ8センチ強の、ただの黒い箱だ。ボリュームをはじめ、本体にはツマミらしきものは無い。だが、これは立派なプリメインアンプである。ただし“ワイヤレス・ストリーミング・アンプ”と銘打っているように、従来製品とは異なるコンセプトが採用されている。

 操作はスマートフォンあるいはタブレット端末にダウンロードされた専用アプリにより行なわれ、もちろんワイヤレスで動作する。DAC内蔵でネット上のハイレゾ音源を含むデジタルオーディオを楽しむことが可能。HDMI端子が搭載されているため、テレビとも接続が出来る。そして通常のRCA入力端子も配備されており、CDプレーヤーなどとの結線もカバーしている。

 本機の価格は15万4千円で、ハイエンド機器ばかりが並ぶ当イベントの出品物の中では珍しく安価だ。ただし駆動力はけっこうあり、英国B&W社の高価格スピーカー801 D4 Signature(定価847万円)を朗々と鳴らしていた。メーカー担当者の話によると、MODEL M1は重厚長大なオーディオ機器を敬遠しがちな若年層をもターゲットに据えた商品らしい。市場の反応が注目される。



 東京都日野市に居を構えるガレージメーカー、SFORZATO社のネットワークプレーヤーDSP-Columba(定価180万円)も存在感を発揮していた。もっとも、インパクトが大きかったのは機器自体のクォリティではなく、同機が奏でるストリーミングサービスの音質である。

 かねてより、私はこのストリーミングサービスというのを信用していなかった。たぶん他の年配のオーディオファンもそうではないだろうか。何となく“圧縮音源ではないのか”とか“CDなどのフィジカルのメディアには後れを取るに決まっている”とかいう先入観があり、利用に踏み切れない向きも多いと思われる。だが、DSP-Columbaが提供する音(ソースはAmazon Music)は従来型メディアと遜色の無いレベルにまで高められており、これならば自室にCDライブラリーを揃える必要性はこれから小さくなるのではと思わせる。いずれにしろ、この分野のイノベーションは侮れない。

(この項つづく)

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