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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」

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 (原題:ARMAGEDDON TIME )監督自身の少年時代の実体験をもとにしたシャシンとしては、先日観たスピルバーグの「フェイブルマンズ」よりはいくらかマシな出来だが、クォリティとしては及第点に達していない。観た後にすぐに忘れてしまうような内容だ。やはり自分史を題材にしてしまうと、意識的・無意識的に関わらず、作者にとって都合の良いような筋書きになりがちなのだろう。

 1980年のニューヨーク。公立学校に通う12歳のポールは、PTA会長を務める母エスターと会社員の父アーヴィング、そして私立学校に通う兄テッドと共に何不自由ない生活を送っているはずだった。しかし、最近は家族や学校に対して違和感を覚えるようになり、時折訪ねてくる祖父アーロン以外には心を開かない。そんな中、ポールはクラスの問題児である黒人生徒のジョニーと仲良くなる。やっと気の置けない仲間が見つかったと思ったのも束の間、2人は不祥事をやらかしてポールはテッドと同じ学校に転校させられてしまう。



 どう考えてもこの自己中心的な主人公には感情移入できない。周囲と折り合いを付けられないのはこの年代では珍しくないが、だからといって迷惑をかけて良いはずもない。特にジョニーに対する態度は看過できないものがあり、この一件をウヤムヤにすべきではきないのだが、映画は一向に明らかにしない。都合の良いように振る舞った作者の不遜なスタンスばかりが目立ってしまう。

 一方で強調されるのが、劇中で登場する私立高校の支援者の鼻持ちならない様子だ。その名はフレッド・トランプといい、あのドナルド・トランプ元大統領の父親で、校内のセレモニーでスピーチをしたマリアンは姉である。題名の「アルマゲドン・タイム」とは主人公にとっての“最終戦争”の意味があると思うが、それがトランプらに代表される保守派との対峙に収斂されてしまうのは、何やらドラマの底が見えたようで愉快になれない。

 脚本も手がけたジェームズ・グレイの演出は平板で、自身の実録物であるせいか作劇が及び腰だ。祖父役のアンソニー・ホプキンスこそ存在感を発揮するが、あとは母に扮したアン・ハサウェイが頑張っている程度で、印象に残る面子はあまりいない。少年2人を演じた俳優に魅力に乏しいのも致命的だ。それでもダリウス・コンジのカメラによるニューヨークの風景は素敵だ。クリストファー・スペルマンの音楽も悪くない。

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