(原題:The Jazz Singer )80年作品。今年(2013年)に駐日アメリカ大使として着任したキャロライン・ケネディをモチーフにしたナンバー「スイート・キャロライン」を作ったのはニール・ダイアモンドだが、その彼が主演したのが本作。世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」のリメイクである。
サントラは大ヒットし、おかげで本国では映画の入りも悪くなかったのだが、出来の方は芳しくない。なお、ダイアモンドはこの作品によりゴールデンラズベリー賞にノミネートされた(笑)。
有り体に言えば歌手の道を目指そうとする青年のサクセス・ストーリーであるが、ドラマ運びが田舎芝居風に大味。終盤なんか安手のメロドラマだ。リチャード・フライシャー及びシドニー・J・フューリーの演出は凡庸に過ぎ、盛り上がるべきところがさっぱり観ている側に届かない。
しかも、主人公の屈託の原因がユダヤ教先唱者の息子だという宗教ネタである点が気勢を削ぐ。別にそういう題材を取り入れてはイケナイということでもないが、これがまた当事者にしか分からないような範囲で展開するのみ。ほとんどの観客には“関係のない”事柄だ。
ダイアモンドの演技は絵に描いたような大根で、脇にローレンス・オリヴィエという大御所を配していながら、それに応えるパフォーマンスを見せていない。ただ、テーマ曲の「アメリカ」をはじめ「ラヴ・オン・ザ・ロックス」「ハロー・アゲイン」といったナンバーはさすがに見事だ。レナード・ローゼンマンによる劇中音楽も悪くない。早い話が、主演をダイアモンド以外の“ちゃんとした俳優”に振り、宗教ネタを抑えて演出をリズミカルにすればもっと良い映画になったはずだ。
サントラは大ヒットし、おかげで本国では映画の入りも悪くなかったのだが、出来の方は芳しくない。なお、ダイアモンドはこの作品によりゴールデンラズベリー賞にノミネートされた(笑)。
有り体に言えば歌手の道を目指そうとする青年のサクセス・ストーリーであるが、ドラマ運びが田舎芝居風に大味。終盤なんか安手のメロドラマだ。リチャード・フライシャー及びシドニー・J・フューリーの演出は凡庸に過ぎ、盛り上がるべきところがさっぱり観ている側に届かない。
しかも、主人公の屈託の原因がユダヤ教先唱者の息子だという宗教ネタである点が気勢を削ぐ。別にそういう題材を取り入れてはイケナイということでもないが、これがまた当事者にしか分からないような範囲で展開するのみ。ほとんどの観客には“関係のない”事柄だ。
ダイアモンドの演技は絵に描いたような大根で、脇にローレンス・オリヴィエという大御所を配していながら、それに応えるパフォーマンスを見せていない。ただ、テーマ曲の「アメリカ」をはじめ「ラヴ・オン・ザ・ロックス」「ハロー・アゲイン」といったナンバーはさすがに見事だ。レナード・ローゼンマンによる劇中音楽も悪くない。早い話が、主演をダイアモンド以外の“ちゃんとした俳優”に振り、宗教ネタを抑えて演出をリズミカルにすればもっと良い映画になったはずだ。