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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ファミリービジネス」

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 (原題:Family Business )89年作品。いくら有名キャストを揃え、実績のある監督が担当しても、失敗作に終わることもある。残念ながらこの映画はその好例だ。公開当時の批評家筋からの評価は芳しくなく、興行収入も期待を大きく下回った。言い換えれば、配役やスタッフの名前ばかりを優先して観る映画を決めていると、時には思わぬ落とし穴にハマるということか。その意味では、存在価値(?)はあるのかもしれない。

 ニューヨークで妻エレインと暮らすヴィト・マクマレンは、疎遠になっている息子のアダムから父親のジェシーが留置場に入っていることを知らされる。保釈金を積んで出所したジェシーに、アダムは研究開発中の酵素細胞を盗み出す計画を持ち掛ける。実はジェシーは、泥棒稼業で生計を立てていたのである。ヴィトは父親の“仕事”とは距離を置いてカタギの生活を送ってはいるが、アダムはジェシーに心酔していて一緒に“仕事”をすることを望んでいた。最初は猛反対するヴィトだったが、この計画には3人で取り組む必要があると力説するジェシーに押し切られ、親子三代で“仕事”に臨むハメになる。



 粗筋だけ聞くと何だか面白そうなのだが、実際観てみるとサッパリ盛り上がらない。テンポは悪いし、プロットの組み立ては冴えないし、ラストも締らない。何より泥棒シーンが平板なのは痛い。主要キャストのパフォーマンスは低調で、何やら全員が大根に見えてしまう。監督は何と名匠シドニー・ルメットで、プロデューサーはウォルター・ヒル監督などと組んで数々の快作をモノにしたローレンス・ゴードンだ。ついでに言うと、ジェシー役はショーン・コネリーで、ヴィトに扮するのはダスティン・ホフマン、アダム役はマシュー・ブロデリックである。

 どう考えても失敗しそうにない布陣ながら、結果はこの有様だ。その原因は分からないが、ひょっとするとシナリオが問題だったのかもしれない。脚本を書いたのは原作者のヴィンセント・パトリックで、この人物は小説家としては有名なのかもしれないが、シナリオライターとしては大した実績が無い。もっと名のある書き手が参画すれば、少しはマシな出来になった可能性はある。

 なお、ルメット監督は不調だった本作の影響からか、これ以後ディレクターとしてのヴォルテージが落ちていく。復調するのは遺作の「その土曜日、7時58分」(2007年)まで待たなければならなかったというのは、何とも切ない。

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