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理不尽な校則が現存していることに驚いた。

 去る1月29日の毎日新聞に、鹿児島市の公立高校では男子生徒の防寒着に制限を設けていることが、同新聞の情報公開請求で判明したという記事が掲載された。何でも“オーバー・ジャンバーコート等の着用は認めない。ただし、生徒指導部の異装許可がある場合はこの限りではない”という内容らしく、要するに学校当局の許可がなければ、どんなに寒くてもコート類は着用禁止ということだ。

 この記事を読んで私は驚いた。前にも一度書いたことがあったが、私は福岡県出身で今でも福岡県に住んでいるが、親が転勤族だったので幼少時から各地を転々としていた。高校時代はちょうど鹿児島県に在住で、そのまま同県内の高校を卒業している。断っておくが、通っていたのはラ・サールみたいな超進学校でも鹿児島実業みたいなガテン系(?)でもなく、この記事で取り上げられているような公立の普通校だ(笑)。

 私が在籍していたその高校は、とにかく校則が多かった。そして例によって、不合理な“ブラック校則”のオンパレードだ。もちろん、男子は真冬でもコート類の着用は禁止。それどころかワイシャツと上着の間にカーディガンやセーター類を着込むことも禁じられていた。なお、拙ブログの読者諸氏諸嬢の中には“鹿児島って本土の最南端だから冬でもそんなに寒くならないのでは”と思う向きもあるかもしれないが、いくら“南国”でも冬場はかなり冷えるし、年に1,2回はしっかり雪も積もる。

 今はオッサンである私が高校に通っていた時期というのは、当然“かなり昔”である。あれから長い時間が経過しているので、さすがにヤバい校則は淘汰されていると思っていたのだが、今回の報道に接して事態はほとんど変わっていないことを知り、愕然とした次第だ。

 くだんの記事によれば、新聞社が校則で男子生徒のコートなどの着用を制限する理由を学校側に問いただすと、何と教頭は“昔からある校則なので、目的は分からない”と答えたという。確たる理由もなく“昔からそうだから”という既成事実によりアホな校則が漫然と長期間存続しているとは、改めて学校現場の閉鎖性・硬直性を思い知らされる。

 たぶん斯様な状況は鹿児島県に限らず、全国規模で散見されるのだろう。ダイバーシティ教育の必要性が叫ばれる昨今、当の学校では前時代的な慣習が罷り通っている。これでは国力が低下する一方だ。また、理不尽な校則を“社会に出てからの苦労に備えるための予行演習”といった謎な理由で肯定する保護者もいるらしい。その予行演習とやらのために、生徒の人権や健康が損なわれても構わないという考え方は、倒錯的と言わざるを得ない。

 余談だが、私が昔通っていた高校では女子だけ学校指定のコートを着ることが認められていた。今回の記事によると、そういう仕切りは現在でも続いているという。その件についても学校側は“昔からそうなので仕方がない”と答えるのだと思うが、さらに問い詰めれば“鹿児島のオナゴは学校を卒業するとすぐに結婚して子供をたくさん産まなければならないから、身体を冷やさないための措置だ”というトンデモな“本音”が返ってくるかもしれない。実際、私の出身校の生活指導担当教師は真面目な顔でそう言っていた。
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