84年東映作品。タイトルだけを見れば、森進一の代表曲を誰でも思い出すだろう。だが、このナンバーが元々映画の主題歌であったことを知る者は、今ではあまり多くは無いと思われる。それだけ映画の印象は薄く、興行的にも成功したとは言い難い。ならば語る価値も無い作品なのかといえば、そうでもない。当時は宮尾登美子原作によるヒット作を連発して脂がのっていた五社英雄監督の仕事だけあって、最後まで惹き付けるパワーはある。題材と時代考証も興味深い。
明治初期の北海道では国の施策として開拓が盛んに行なわれていたが、鉄道敷設工事に関しては屯田兵だけでは人員が足りず、服役中の囚人たちも動員されていた。石狩平野の空知にあった樺戸集治監もその事業に協力していたが、典獄の月潟剛史は暴君で、服役囚たちを酷使していた。ある雪の日、月潟は行き倒れていたゆうという女を助ける。
実はゆうは京の祇園の芸妓で、収監中の元津軽藩士である男鹿孝之進を救出するため月潟に接触したのだった。彼女は男鹿に接見するが、何と彼はゆうに月潟殺しを持ち掛ける。一方、集治監には元新選組副長の永倉新八とその一派も潜り込んでいて、月潟は彼らに襲われて深手を負ってしまう。
この映画には原作は無く、脚本は高田宏治のオリジナルだ。そもそも当時の東映社長であった岡田茂が、札幌に行った際に囚人の無縁墓地を見て思い付いたという企画。そのせいか、話に一貫性が無くエピソードがあちこちに飛ぶ。だいたい、このネタにしては登場人物が多すぎる。月潟とゆう、それに新八だけではなく、元新選組やら月潟の情婦やら、他の囚人たちに女郎屋の女たちに内務省の役人など、これは2時間の映画ではなくテレビの連続ドラマ並みのキャラクターの数だ。
しかも名の知れたキャストを揃えているためにそれぞれ見せ場を作らねばならず、結果としてまとまりが無くなったのも当然だろう。果ては後半には突然熊が襲ってくるという“荒技”が挿入されており、その熊が本物でもCGでもなく“着ぐるみ”なのだから脱力する。とはいえ、そこは五社御大。骨太の演出と諸肌脱いでくれる女優陣、迫力ある立ち回りにより、退屈しない出来には仕上げている。地吹雪が舞う北海道の原野の描写にも惹かれる(ただし、ロケ地は北陸だ ^^;)。
主演の仲代達矢をはじめ岩下志麻、夏木マリ、中村れい子、成田三樹夫、夏木勲、宮内洋、阿藤海、三田村邦彦、丹波哲郎、小池朝雄、早乙女愛、佐藤浩市、露口茂など、顔ぶれはかなり豪華。佐藤勝の音楽と森田富士郎による撮影も申し分ない。なお、ナレーションは夏目雅子が務めており、これが彼女の最後の仕事になった。
明治初期の北海道では国の施策として開拓が盛んに行なわれていたが、鉄道敷設工事に関しては屯田兵だけでは人員が足りず、服役中の囚人たちも動員されていた。石狩平野の空知にあった樺戸集治監もその事業に協力していたが、典獄の月潟剛史は暴君で、服役囚たちを酷使していた。ある雪の日、月潟は行き倒れていたゆうという女を助ける。
実はゆうは京の祇園の芸妓で、収監中の元津軽藩士である男鹿孝之進を救出するため月潟に接触したのだった。彼女は男鹿に接見するが、何と彼はゆうに月潟殺しを持ち掛ける。一方、集治監には元新選組副長の永倉新八とその一派も潜り込んでいて、月潟は彼らに襲われて深手を負ってしまう。
この映画には原作は無く、脚本は高田宏治のオリジナルだ。そもそも当時の東映社長であった岡田茂が、札幌に行った際に囚人の無縁墓地を見て思い付いたという企画。そのせいか、話に一貫性が無くエピソードがあちこちに飛ぶ。だいたい、このネタにしては登場人物が多すぎる。月潟とゆう、それに新八だけではなく、元新選組やら月潟の情婦やら、他の囚人たちに女郎屋の女たちに内務省の役人など、これは2時間の映画ではなくテレビの連続ドラマ並みのキャラクターの数だ。
しかも名の知れたキャストを揃えているためにそれぞれ見せ場を作らねばならず、結果としてまとまりが無くなったのも当然だろう。果ては後半には突然熊が襲ってくるという“荒技”が挿入されており、その熊が本物でもCGでもなく“着ぐるみ”なのだから脱力する。とはいえ、そこは五社御大。骨太の演出と諸肌脱いでくれる女優陣、迫力ある立ち回りにより、退屈しない出来には仕上げている。地吹雪が舞う北海道の原野の描写にも惹かれる(ただし、ロケ地は北陸だ ^^;)。
主演の仲代達矢をはじめ岩下志麻、夏木マリ、中村れい子、成田三樹夫、夏木勲、宮内洋、阿藤海、三田村邦彦、丹波哲郎、小池朝雄、早乙女愛、佐藤浩市、露口茂など、顔ぶれはかなり豪華。佐藤勝の音楽と森田富士郎による撮影も申し分ない。なお、ナレーションは夏目雅子が務めており、これが彼女の最後の仕事になった。