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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「任侠学園」

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 2019年作品。いかにもお手軽な映画で、マジメに対峙するとバカを見るが(笑)、割り切って楽しむのにはちょうど良い。単純すぎる筋書きは、濃いキャスティングがある程度カバーしてくれる。小ネタを入れすぎの感はあるものの、この程度ならば“愛嬌”で済ませられるだろう。

 東京の下町を根城に活動する昔気質のヤクザの阿岐本組は、構成員6人の弱小勢力ではあるが、社会奉仕をモットーに地元密着型の組織を目指していた。上部組織の高木組組長の葬儀の際、親分の阿岐本雄蔵は兄弟分の永神組組長から、経営不振の高校の運営を押し付けられてしまう。若頭の日村ら組員は嫌々ながらも学校に足を運んでみるが、そこに待ち受けていたのは、やる気の無い生徒たちと仕事に身が入らない教師たちだった。

 しかも、最近では夜中に校内の窓ガラスが割られるなど、不祥事も目立っている。それでも何とか学校の雰囲気を変えようと奮闘する日村たちだったが、どうやら高校の立地に関する利権で“その筋”の連中が暗躍していることが分かってくる。今野敏の人気小説「任侠」シリーズの映画化だ。

 今どき、義理と人情を重んじる昔ながらのヤクザなどまず存在しないだろうし、そんな彼らが学校の経営を任されるというのも絵空事だ。舞台になる高校は規模が大きそうなのだが、なぜか阿岐本組に対応する教師は校長以下数人だけだし、生徒たちも10人程度しか顔を出さない。敵対する組織は半グレ主体のチンピラ集団だし、裏で進行する陰謀とやらも大したことはない。

 斯様に作劇が安普請の建付けながらも、何とか最後まで観ていられたのは、作品のカラーが明るく余計な重さが無いからだ。話は都合よく展開して組員と学校側は上手くやっていくし、生徒たちの屈託も深刻なものではない。そして西田敏行に西島秀俊、伊藤淳史、池田鉄洋、光石研、中尾彬、生瀬勝久、高木ブー(ワンポイントのお笑い担当)といった場違いとも思える手堅いキャストがドラマを支えてくれる。

 木村ひさしの演出は細かいギャグを詰め込もうとして進行が滞る傾向はあるが、概ね納得できる仕事ぶりだ。ヒロイン役の葵わかなは悪くないが、朝ドラの主演を務めたキャリアもありながら、映画ではあまり仕事が回ってこないのは残念である。東京スカパラダイスオーケストラによる主題歌は及第点。

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