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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「マン・フロム・トロント」

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 (原題:THE MAN FROM TORONTO)2022年6月よりNetflixにて配信。他愛の無いアクション・コメディだが、けっこう良く出来ていて最後まで楽しめる。各キャラクターの造形は上手くいっており、アクション場面の練り上げも及第点だ。当初は劇場公開される予定だったらしいが、諸般の事情で配信のみと相成った。でも、これぐらいのクォリティならば映画館で観ても良かったと思う。

 主人公テディはオンラインでのエアボクシングを普及させようという野望を持っているが、甲斐性が無いため上手くいかない。そんな中、妻ロリの誕生日祝いにバージニア州にある山小屋を借りることにした彼は、住所を間違えて別の小屋を訪ねてしまう。そこにはヤバい連中が“トロントの男”と呼ばれるその筋のプロを待っていたのだが、テディはその男と間違えられて絶体絶命の危機に陥る。

 そこは運良くFBIに救出されるのだが、今度はFBIから囮捜査を持ち掛けられ、本物の“トロントの男”と接触するハメになる。さらには成り行きで“トロントの男”と一緒に裏社会の刺客たちから狙われる立場になり、2人は共闘して次々と襲いかかるトラブルに対処していく。

 一種のバディ・ムービーであり、舞台設定が広範囲のロード・ムービーでもある。斯様な形式のドラマだと登場人物の個性がどれだけ屹立しているかがポイントになってくるが、本作は合格だ。テディ役のケヴィン・ハートは口八丁手八丁の胡散臭さを発揮し、対するウディ・ハレルソンはスキンヘッドの強面野郎。このコントラストは効果的だ。

 加えて、組織のボス役のエレン・バーキンが程度を知らない過激さを演出してみせる。また、このボスは手下に命令するだけで、“トロントの男”の顔を知らないという設定は気が利いている。ピアソン・フォード扮する“マイアミの男”の不貞不貞しさをはじめ、殺し屋どもはバラエティに富んでいる。さらに“東京の男”として山下智久まで出てくるのだから愉快だ。ケイリー・クオコとジャスミン・マシューズの女性陣も言うことなし。

 パトリック・ヒューズ監督の仕事ぶりは達者で、作劇のテンポが落ちることはないし、活劇シーンのヴォルテージの高さには驚かされる。ギャグの振り出し方も万全だ。すべてが丸く収まる終盤の扱いと共に、何やら続編も出来そうな雰囲気もあり、油断できない(笑)。

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