(原題:KING RICHARD)これはとても評価できない。早い話が、主演で製作にも関与しているウィル・スミスの“俺様映画”なのだ。スクリーン上でデカい態度を取り、一人悦に入っているものの、作品の内容は低級である。特に脚本の不備は致命的で、昨今のハリウッド映画でこれだけいい加減なシナリオが採用された例は珍しい。アカデミー賞候補になったのも、何かの間違いではないかと思ったほどだ。
ルイジアナ州出身のリチャード・ウィリアムズは、テレビで優勝したプロテニスプレイヤーが多額の小切手を受け取る姿を見て、自分の子供たちをテニス選手に育てることを決意する。ところが彼はテニスの経験がない。それでも独学でテニスの教育法を研究し、分厚い計画書を作成。カリフォルニア州に家族と共に移り住んだ彼は、コンプトンの公営テニスコートで娘であるビーナスとセリーナを特訓する。そして90年代後半から娘たちをプロツアーに参戦させ、目覚ましい成績を上げる。ウィリアムズ姉妹の父であるリチャードを主人公にした実録映画だ。
とにかく、リチャードのキャラクターが十分に描きこまれていないのには呆れるばかり。そもそも、どうして娘たちを(バスケットボールや陸上競技等ではなく)テニスの道に進ませたのか分からない。テニスに関して門外漢であった彼が、なぜ綿密なプランを考え出せたのかも不明。
リチャードの態度は横着で、無理矢理にプロのコーチに指導させたと思ったら、しばらくすると別のコーチにあっさりと鞍替え。練習の現場にも堂々と顔を出し、自身のウンチクを滔々と語った上で、コーチを無視して“独自の”アドバイスを披露する始末。クラブハウスの無料のお菓子を食べているビーナスとセリーナに対し“タダのものには手を出すな!”と怒るくせに、自分は食堂で無料のハンバーガーを食べ放題。とにかく一貫性のない奴だ。
もちろん、リチャードが2人の娘をプロとして育て上げたのは事実だが、映画の中では説得力の欠片も見い出せない。いわゆる“実話なんだから、細かいところはどうでもいいじゃん”という、私の一番嫌いなパターンに入り込んでいる(笑)。
レイナルド・マーカス・グリーンの演出には特筆すべきものは無いが、試合のシーンだけは良く撮れている。W・スミスのパフォーマンスはメリハリに欠け、ただ太々しいだけだが、妻のオラシーンに扮するアーンジャニュー・エリスは好演。娘たちを演じるサナイヤ・シドニーとデミ・シングルトンも可愛い。ともあれ、この映画を観るよりも、テレビでテニスの四大大会の試合を眺めている方が、数段マシであるのは事実だ。
ルイジアナ州出身のリチャード・ウィリアムズは、テレビで優勝したプロテニスプレイヤーが多額の小切手を受け取る姿を見て、自分の子供たちをテニス選手に育てることを決意する。ところが彼はテニスの経験がない。それでも独学でテニスの教育法を研究し、分厚い計画書を作成。カリフォルニア州に家族と共に移り住んだ彼は、コンプトンの公営テニスコートで娘であるビーナスとセリーナを特訓する。そして90年代後半から娘たちをプロツアーに参戦させ、目覚ましい成績を上げる。ウィリアムズ姉妹の父であるリチャードを主人公にした実録映画だ。
とにかく、リチャードのキャラクターが十分に描きこまれていないのには呆れるばかり。そもそも、どうして娘たちを(バスケットボールや陸上競技等ではなく)テニスの道に進ませたのか分からない。テニスに関して門外漢であった彼が、なぜ綿密なプランを考え出せたのかも不明。
リチャードの態度は横着で、無理矢理にプロのコーチに指導させたと思ったら、しばらくすると別のコーチにあっさりと鞍替え。練習の現場にも堂々と顔を出し、自身のウンチクを滔々と語った上で、コーチを無視して“独自の”アドバイスを披露する始末。クラブハウスの無料のお菓子を食べているビーナスとセリーナに対し“タダのものには手を出すな!”と怒るくせに、自分は食堂で無料のハンバーガーを食べ放題。とにかく一貫性のない奴だ。
もちろん、リチャードが2人の娘をプロとして育て上げたのは事実だが、映画の中では説得力の欠片も見い出せない。いわゆる“実話なんだから、細かいところはどうでもいいじゃん”という、私の一番嫌いなパターンに入り込んでいる(笑)。
レイナルド・マーカス・グリーンの演出には特筆すべきものは無いが、試合のシーンだけは良く撮れている。W・スミスのパフォーマンスはメリハリに欠け、ただ太々しいだけだが、妻のオラシーンに扮するアーンジャニュー・エリスは好演。娘たちを演じるサナイヤ・シドニーとデミ・シングルトンも可愛い。ともあれ、この映画を観るよりも、テレビでテニスの四大大会の試合を眺めている方が、数段マシであるのは事実だ。