(原題:REMINISCENCE)記憶に潜入するエージェントを主人公にした映画ということで、クリストファー・ノーラン監督の「インセブション」(2010年)やダンカン・ジョーンズ監督の「ミッション:8ミニッツ」(2011年)のようなトリッキィでスリリングな作品かと思ったら、そうでもない。また、カネを掛けた超大作でもなく、ハリウッド基準から言えばB級だろう。ただし、映像は魅力的でキャストの仕事ぶりは申し分なく、それほど観て損した気はしない。
温暖化によって海面が大幅に上昇し、大半の都市が水浸しになった近未来。マイアミに住む元軍人のニックは、世界的な大戦の副産物として開発された“記憶を3D映像化する装置”を操る“記憶潜入(レミニセンス)エージェント”として生計を立てていた。あるとき検察局から、重傷のギャングの記憶に潜入して組織の正体を突き止めて欲しいという依頼を受ける。ニックはその記憶の映像を見て驚く。なぜなら、そこには以前彼の常連客だった女性歌手メイが“登場”していたからだ。行方が分からなくなった彼女を探すべく、ニックはギャングのアジトに乗り込む。
記憶の映像化は別に凝ったところは無く、当事者の“回想場面”が流れるだけだ。しかし、そこには本人も気が付いていない情報が織り込まれているという設定は面白い。メイは初めは忘れものを探すためにニックの仕事場に来店するのだが、このマシンさえあれば本人が失念していた事物を“再現”することが出来るだろう(実に便利だ ^^;)。
中盤にはアクションシーンやチェイス場面などがあるのだが、物語の主眼はニックとメイのラブストーリーだ。ニックの彼女に対する一途な想いは、まあ観ていて恥ずかしくなってくるほどだが(笑)、けっこうサマになっている。もっとも、その執着ぶりは仕事のパートナーであるエミリーも呆れるほどなのだが、そんな彼のスタンスは終盤になっても揺るがない。パッと見た感じは女々しいとも思えるが、これはこれで良いのではないかと合点してしまう。
リサ・ジョイの演出は色恋沙汰の描写には非凡なものを見せ、最後までロマンティックな雰囲気が充満する。主演のヒュー・ジャックマンのキャラクターはこういうネタではワイルド過ぎると思わせるが、健闘していると思う。メイに扮するレベッカ・ファーガソンが意外に歌が上手いのには驚いたし、タンディ・ニュートンやクリフ・カーティス、ダニエル・ウーといった脇の面子も悪くない。そして何より、ポール・キャメロンのカメラによる水に沈みかけた町の造型は絶品で、これをチェックするだけでも観る価値はある。
温暖化によって海面が大幅に上昇し、大半の都市が水浸しになった近未来。マイアミに住む元軍人のニックは、世界的な大戦の副産物として開発された“記憶を3D映像化する装置”を操る“記憶潜入(レミニセンス)エージェント”として生計を立てていた。あるとき検察局から、重傷のギャングの記憶に潜入して組織の正体を突き止めて欲しいという依頼を受ける。ニックはその記憶の映像を見て驚く。なぜなら、そこには以前彼の常連客だった女性歌手メイが“登場”していたからだ。行方が分からなくなった彼女を探すべく、ニックはギャングのアジトに乗り込む。
記憶の映像化は別に凝ったところは無く、当事者の“回想場面”が流れるだけだ。しかし、そこには本人も気が付いていない情報が織り込まれているという設定は面白い。メイは初めは忘れものを探すためにニックの仕事場に来店するのだが、このマシンさえあれば本人が失念していた事物を“再現”することが出来るだろう(実に便利だ ^^;)。
中盤にはアクションシーンやチェイス場面などがあるのだが、物語の主眼はニックとメイのラブストーリーだ。ニックの彼女に対する一途な想いは、まあ観ていて恥ずかしくなってくるほどだが(笑)、けっこうサマになっている。もっとも、その執着ぶりは仕事のパートナーであるエミリーも呆れるほどなのだが、そんな彼のスタンスは終盤になっても揺るがない。パッと見た感じは女々しいとも思えるが、これはこれで良いのではないかと合点してしまう。
リサ・ジョイの演出は色恋沙汰の描写には非凡なものを見せ、最後までロマンティックな雰囲気が充満する。主演のヒュー・ジャックマンのキャラクターはこういうネタではワイルド過ぎると思わせるが、健闘していると思う。メイに扮するレベッカ・ファーガソンが意外に歌が上手いのには驚いたし、タンディ・ニュートンやクリフ・カーティス、ダニエル・ウーといった脇の面子も悪くない。そして何より、ポール・キャメロンのカメラによる水に沈みかけた町の造型は絶品で、これをチェックするだけでも観る価値はある。