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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ブラック・ウィドウ」

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 (原題:BLACK WIDOW )何より、コロナ禍で公開が次々と順延になっていたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の作品を久しぶりにスクリーン上で拝めたことが嬉しい。アート系の映画をミニシアターで鑑賞するのも良いが、ハリウッドの大作を劇場で堪能することも、映画の醍醐味だ。また、本作の出来も水準は超えており、観た後の満足度も高い。

 「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016年)での一件の後、一時期アベンジャーズから離れていたブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは、久々に“妹”であるエレーナと再会する。そこでナターシャは、かつて自分が属していた国際的暗殺組織“レッドルーム”がまだ壊滅しておらず、死んだはずの親玉ドレイコフが世界征服を企んでいることを知る。2人は服役している“父親”のアレクセイの脱獄を手助けした後、かつての“母親”のメリーナのもとを訪ねる。こうして再集結した“一家”は“レッドルーム”の陰謀に敢然と立ち向かう。



 序盤に、この疑似家族がオハイオ州の田舎町で普通の市民として生活していたが、やむを得ない事情によりこの地を離れ、一家離散になるプロセスが描かれる。それから年月が経ち、アベンジャーズでの活動が行き詰まった時点でナターシャが“妹”や“両親”に再会しようとするのは、彼女考え及び作品の指向が家族回帰であることが分かる。また、彼女にとっての家族はアベンジャーズでもあることが示唆されるのだ。

 対してドレイコフの“家族”は極端に歪なものであり、たとえ血が繋がった者であっても、自身の手足としか思っていない。この、正常な家族観と異常な家族観との相克が、映画に一本筋を通している。ケイト・ショートランドの演出はスムーズで、各キャラクターを万遍なく際立たせている。アクション場面の段取りと構図もかなりのもので、CG多用ながら盛り上がる。

 主演のスカーレット・ヨハンソンは好調で、活劇シーンもさることながらヒーローとしての内面も上手く表現している。たぶんMCUへの出演はこれが最後になってしまうが、とても残念だ。エレーナに扮するフローレンス・ピューはまさに快演。「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(2019年)のような文芸物よりも、こういうガラッパチな役の方が断然似合う。デイヴィッド・ハーバーやオルガ・キュリレンコ、ウィリアム・ハート、レイチェル・ワイズといった顔ぶれも申し分ない。次回からはエレーナがMCUの重要なキャラクターとしてフィーチャーされると思われるが、いずれにしろ楽しみだ。

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