(原題:The Outsiders )83年作品。公開当時は“中途半端でどうしようもないシロモノ”という評(朝日新聞)もあったようだが、確かにフランシス・フォード・コッポラ監督の作品にしては随分と軽量級だ。ストーリーも過去の“不良少年もの”(?)のエピゴーネンでしかなく、訴求力は大きくはない。しかし、当時の若手スター総出演の本作には“華”があり、若年層の支持を集めたことも事実だ。
オクラホマ州タルサのイーストウッド地区に住む14歳のポニーボーイは、両親を事故で失い、兄のダリーが親代りだ。ポニーは不良グループの“グリース”に属していた。一方、富裕層が住むウエストウッド地区には“ソッシュ”というグループがあり、“グリース”と対立関係にある。ある晩、ポニーは映画館で“ソッシュ”の女子メンバーであるチェリーと知り合うが、そのせいで両グループは一触即発の状態に。
“グリース”で一番血の気が多いポニーの2歳上のジョニーは、“ソッシュ”の連中と揉み合ううちにチェリーのボーイ・フレンドであるボブを誤って刺殺してしまう。事情を知ったダニーは、ポニーとジョニーにタルサを離れるように指示するのだった。スーザン・エロイーズ・ヒントンによる同名小説の映画化だ。
話自体はまるで「ウエスト・サイド物語」と「理由なき反抗」と「エデンの東」を足して3で割ったようなシロモノで、新味は無い。そもそも原作は作者が17歳の時に発表されており、有り体に言ってこれはライトノベルであろう。色恋沙汰こそ控え目だが、登場人物の造型は深みに欠ける文字通りの“ライト級”だ。コッポラの演出も殊更シャープな部分はなく、可も無く不可も無い展開に終始。
しかしながら、出ている面子を眺めていると“お得感”がかなり高いことが分かる。何しろポニー役のC・トーマス・ハウエルをはじめ、マット・ディロンにラルフ・マッチオ、パトリック・スウェイジ、ロブ・ロウ、エミリオ・エステベス、トム・クルーズ、ダイアン・レイン、レイフ・ギャレットなど、この頃ヤング・アダルト・スター(ブラット・パック)と呼ばれた連中が全員集合している。さらにスティーヴィー・ワンダーの有名なテーマ曲が映画を盛り上げ、若い観客にとっては堪えられなかっただろう。事実、日本の映画雑誌「スクリーン」の読者選出ベストテンでは、見事トップを獲得している。