(原題:THE GENTLEMEN )いかにもガイ・リッチー監督作らしい、ケレンとハッタリの連続で賑々しくストーリーを進めてくれるが、底は浅い。少なくとも、同監督の出世作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(98年)と比べれば、かなり落ちる。有り体に言えば、脚本の精査が足りていない。
アメリカからイギリスに渡り、マリファナの取引で財を成した組織のボスのミッキー・ピアソンが、巨額のビジネス資産をすべて売却した上での引退を決める。そんな中、私立探偵のフレッチャーがミッキーの側近であるレイモンドのもとを訪れる。フレッチャーはミッキーとそのシンジケートの“弱み”を握っており、そのネタを買い取らないと大手ゴシップ紙に情報をリークすると脅す。
一方、アメリカの富豪マシュー・バーガーがミッキーの事業を譲り受ける話が進められていた。また、マシューの仲間であるチャイニーズ・マフィアや、偶然この件に関わることになったロシアン・マフィア、町のワルどもを束ねる得体の知れない男“コーチ”などが暗躍し、ミッキーの周囲は慌ただしくなってくる。
いろんな連中が入り乱れて筋書きは複雑のように見えるが、実はマリファナ密売組織の事業移管の話に過ぎず、プロットはひどく単純だ。ミッキーの仕事を妨害している奴らの親玉は誰なのかというのは、すぐにネタが割れる。他の者たちも、観ている側が“こいつは、たぶん腹の中でこう思っているのだろう”と予想すると、それはすべて的中する。結末にはほとんど意外性はなく、この方向以外では締められない運びになっている。
映画の大半はフレッチャーがレイモンドに話す内容に沿って進行し、だから多少は荒唐無稽な“脚色”が付与されているのは仕方がないが、それにしてもストーリーが面白くない。そもそも、これだけの騒ぎを起こしておいて警察当局がまったく介入しないというのも変だ。悪徳刑事でも登場させて、重要な役割を割り当てるぐらいの工夫が欲しかった。リッチーの演出は派手だが、話自体が気勢が上がらないので“から騒ぎ”に終わっている感がある。
マシュー・マコノヒーにチャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、コリン・ファレル、そしてヒュー・グラントなど顔ぶれは多彩だが、いずれも想定の範囲内の仕事ぶりだ。とはいえ、アラン・スチュワートによる撮影は悪くないし、クリストファー・ベンステッドの音楽および既成曲のチョイスは非凡である。何も考えずに映画の“外観”だけを楽しみたいという向きには適当かもしれない。
アメリカからイギリスに渡り、マリファナの取引で財を成した組織のボスのミッキー・ピアソンが、巨額のビジネス資産をすべて売却した上での引退を決める。そんな中、私立探偵のフレッチャーがミッキーの側近であるレイモンドのもとを訪れる。フレッチャーはミッキーとそのシンジケートの“弱み”を握っており、そのネタを買い取らないと大手ゴシップ紙に情報をリークすると脅す。
一方、アメリカの富豪マシュー・バーガーがミッキーの事業を譲り受ける話が進められていた。また、マシューの仲間であるチャイニーズ・マフィアや、偶然この件に関わることになったロシアン・マフィア、町のワルどもを束ねる得体の知れない男“コーチ”などが暗躍し、ミッキーの周囲は慌ただしくなってくる。
いろんな連中が入り乱れて筋書きは複雑のように見えるが、実はマリファナ密売組織の事業移管の話に過ぎず、プロットはひどく単純だ。ミッキーの仕事を妨害している奴らの親玉は誰なのかというのは、すぐにネタが割れる。他の者たちも、観ている側が“こいつは、たぶん腹の中でこう思っているのだろう”と予想すると、それはすべて的中する。結末にはほとんど意外性はなく、この方向以外では締められない運びになっている。
映画の大半はフレッチャーがレイモンドに話す内容に沿って進行し、だから多少は荒唐無稽な“脚色”が付与されているのは仕方がないが、それにしてもストーリーが面白くない。そもそも、これだけの騒ぎを起こしておいて警察当局がまったく介入しないというのも変だ。悪徳刑事でも登場させて、重要な役割を割り当てるぐらいの工夫が欲しかった。リッチーの演出は派手だが、話自体が気勢が上がらないので“から騒ぎ”に終わっている感がある。
マシュー・マコノヒーにチャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、コリン・ファレル、そしてヒュー・グラントなど顔ぶれは多彩だが、いずれも想定の範囲内の仕事ぶりだ。とはいえ、アラン・スチュワートによる撮影は悪くないし、クリストファー・ベンステッドの音楽および既成曲のチョイスは非凡である。何も考えずに映画の“外観”だけを楽しみたいという向きには適当かもしれない。