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Channel: 元・副会長のCinema Days
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ProCableのシステムを再び試聴した。

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 先日、所用で大阪に行ってきた際に時間が空いたので、日本橋にあるカリスマ的(?)ネット通販業者「ProCable」のリアルショップを覗いてきた。

 この店には前年にも足を運んでおり、展示されていた“至高のシステム”とやらの低品質ぶりに呆れたものだが、今回どうして再び行く気になったのかというと、この“至高のシステム”のアンプが変更されていたからである。スピーカーの米国Electro Voice社のTOUR−X TX1152と、プリアンプ代わりの英国ALLEN&HEATH社のミキサー・WZ3は前回と同じだが、メインアンプが米国CROWN社のD−45からドイツのブランドであるthomannS−75mk2にチェンジされている。



 まあ、前回がヒドかったので今回も大して期待はしていなかったのだが、もしも前に聴いた時と音のグレードの違いが感じられるのならば、それはつまりメインアンプの差ということになる。この業者が新たにチョイスしてきた製品というのはどんなシロモノなのか、いわば怖いもの見たさ的な興味があったわけだ(笑)。

 さて、実際に聴いてみると、何と驚いたことに前回よりはいくらかマシになっている。

 音像の輪郭がちょっと明瞭になり、音場感らしきものも少しは見られる。低域はタイトになり、解像度は改善のあとが見られる。何よりも聴感上のレンジが拡大しているように感じられた。

 まあ、前回から1年以上のインターバルがあるので“新旧両システムを比較すると、明らかにこうだ!”などと断定的なことは言えない。ただ個人的には、前のシステムに比べると多少良い方向には振られていることは確かだと思った。

 しかし、このシステムが誰にでも奨められるほど上質なのかというと、断じてそうではない。

 相変わらず音には潤いもコクも艶も繊細さも存在しない。かといってこの業者の決まり文句である“業務用こそ一番だぁ!”ということを証明するような、モニター的な行儀の良さも微塵も感じられない。高域も低域も歪みっぽくバタバタとしたうるさい音で、ヴォーカルはガサツで色気はなく、弦楽器は滑らかさのカケラもなくパサパサだ。もしもこれを音楽観賞用に使おうというリスナーがいるとすれば、その感性を疑う。



 しかしオーディオシステムの音の傾向を決定付けるのはスピーカーだということを考え合わせれば、この低調なパフォーマンスの元凶はスピーカーにあるという考え方も成り立つ。しょせんTOUR−X TX1152はPA用スピーカーであり、ただの拡声器だ。それを音楽観賞用として流用しようという、その方法論自体が間違っている。

 ひょっとしたら、このS−75mk2という機器自体はそう悪くないのかもしれない。PA用スピーカーではなく普通の民生用スピーカーを繋いだらどうなるのか、ちょっと興味を覚えた。外観もD−45より少しはマトモだ。

 とはいえ、S−75mk2はプリメインアンプではなくメインアンプなので、入力が一系統しか無い。複数の音源を使うユーザーはプリアンプ代わりに大仰なミキサーを導入しなければならず、使い勝手の面で導入には二の足を踏む。しかも、このアンプは115Vか230Vでの作動を前提に作られているため、日本の100V環境だと動作不全に陥ることがあるらしい。だとすると、一般的には“欠陥品”のレッテルを貼られるのではなかろうか。

 それにしても、ProCableは以前はD−45をあれほど“最強のアンプだ! 最終回答だ!”と持ち上げていたくせに、thomannの製品をラインナップに加えた途端に“軽くCROWN超えだ!”と言ってのけるとは、何とも節操が無い。しかも、S−75mk2はD−45の半額以下だ。この業者にとっての“至高の音”というのは、その基準が場当たり的に変わるらしい(呆)。

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