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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ザ・スイッチ」

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 (原題:FREAKY)お手軽なホラー・コメディであり、筋書きも予想が付くのだが、けっこう楽しんで最後まで観ることが出来た。モチーフの細部がよく練り上げられており、無理筋のエピソードも少ない。取り立てて高評価を与えるようなシャシンではないものの、時間の空いたときに付き合うにはもってこいだ。

 ジョージア州の田舎町に住む地味で内気な女子高生ミリーは、1年前に父親を亡くしてからますます塞ぎがちになっていた。母親は酒に溺れ、警察官の姉は仕事にしか興味が無い。そんな折、連続殺人鬼ブッチャーが暴れ出しているというニュースが町を賑わせていた。ある夜、無人のグラウンドで母の迎えを待っていた彼女に、ブッチャーが襲いかかる。



 ブッチャーが別の犠牲者宅から盗んだ伝説の短剣で刺し殺されたはずのミリーだが、その時に雷鳴が響き渡り、気が付くと2人の身体が入れ替わってしまう。24時間以内に入れ替わりを解かなければ、二度と元に戻れない。ブッチャーの姿をしたミリーは友人のナイラとジョシュを何とか説得して短剣の在処を探すが、その頃ミリーの身体を得たブッチャーは学内で殺戮の限りを尽くしていた。

 よくある“入れ替わりネタ”なのだが、当事者が女子高生と殺人鬼という設定がユニークで、しかも入れ替わることによって2人は“新たな可能性”を知ってしまうあたりがケッ作だ。ブッチャーは相手を油断させる外見を待ったことで、殺しのバリエーションが増える。ミリーは大柄でパワフルな肉体を得たことで、行動力が数段アップする。いわばジェンダーの問題を斜め後ろから考察するようなテイストがあり、なかなか興味深い。

 ホラー映画だけに流血沙汰は多いが、ミリーの姿形を持ったブッチャーに校内で殺されるのがイヤな奴らばかりなので、それほど残忍さは無い(笑)。また、ミリーの家族関係をじっくり描いてハートウォーミングな一面も挿入するあたりも上手い。クリストファー・ランドンの演出はテンポが良く、主人公2人以外のキャラクターにも十分目が行き届いている。過去のホラー映画を意識したショットがけっこうあるのも楽しい。

 主演のヴィンス・ヴォーンとキャスリン・ニュートンは大活躍で、身長2メートルのヴォーンの乙女チックな演技と、可愛い顔して凶悪な面を隠そうともしないニュートンのパフォーマンスは特筆ものだ。ケイティ・フィナーランにセレステ・オコナー、ミシャ・オシェロヴィッチといった脇の面子も好調。ラストの立ち回りの“あり得ない展開”こそ気になるが、まずは観て損の無い作品だと思う。

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