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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「春江水暖 しゅんこうすいだん」

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 (原題:春江水暖)少しも面白くない。退屈な映画だ。起伏の無いストーリーに凡庸な語り口、魅力に乏しい登場人物たち、そして“どこかで観たような映像”と、どう見ても個人的には映画的興趣に欠けるシャシンだ。150分という決して短くもない上映時間も相まって、観ている間は眠気との闘いに終始する始末である。

 舞台は浙江省杭州市の富陽地区。顧家の年老いた母の誕生日を祝うパーティーが開かれていた。4人の息子や親戚たちが集まる中、突然に母が脳卒中で倒れてしまう。何とか命は取り留めたが認知症が進み、誰かが介護しなければならない。息子たちは、改めてそれぞれの人生に向き合うことになる。



 長男はくだんのパーティーがおこなわれたレストランを経営しており、現在は娘の結婚問題で悩んでいる。次男は漁師で、頼りない息子の行く末を心配している。三男はダウン症の息子を男手ひとつで育てており、四男は気楽な独身暮らしだが、実はパートナー探しに苦労している。彼らの状況を掘り下げればかなりの成果を上げたと思われるのだが、映画はそうならない。どれも通り一遍で求心力に欠ける。特に三男は描き込めば面白いネタがたくさん出てくるはずだが、どうも及び腰だ。

 映画の設定としては、中国を舞台にしたアメリカ映画「フェアウェル」(2019年)と似たところがあるが、あれよりも落ちる。どうも、観客を楽しませようという意図はあまり無いようだ。ならば、高踏的なタッチを狙っているのかというと、これも空振りだ。そもそも本作は単なるホームドラマであり、しかもあまり悲劇性を伴わない筋書きなので、アート的に練り上げようとしても上手くいかない。

 映像面では富春江の沿岸を横移動の長回しで延々と捉えたシーンに代表されるような、悠然としたタッチが評判になっているようだが、確かに“アートっぽさ”を醸し出すものの、映画のモチーフとして機能していない。これらの映像は「長江哀歌」(2006年)や「四川のうた」(2008年)といったジャ・ジャンクー監督の初期作品の卓越したヴィジュアルと似ているようで、深遠さは感じられない。

 これがデビュー作になるグー・シャオガン監督の腕前はそれほどではない。チエン・ヨウファーやワン・フォンジュエン、ジャン・レンリアンなどのキャストも印象が薄く、わずかに長男の娘を演じるポン・ルーチーの清楚な美しさが記憶に残った程度だ。

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