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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ライリー・ノース 復讐の女神」

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 (原題:PEPPERMINT)2018年作品。本国アメリカでは酷評されているらしいが、個人的にはそれほどヒドいとは思わなかった。しかしながら、決して上出来ではない。有り体に言えば、何も考えずヒマつぶしに観るのには丁度良い。展開にモタモタしたところがなく、ストレスを感じないのは取り柄だろう。

 ロスアンジェルスに住む平凡な主婦ライリー・ノースは、ある日突然悲劇に遭遇する。マフィアの金を横取りする話に乗ろうとした夫が、組織の逆恨みを買って幼い娘ともども殺されてしまったのだ。事件を目撃したライリーは警察の捜査に協力するが、起訴された実行犯は無罪放免になる。判事に食ってかかった彼女だが、危うく精神病院に送致されそうになる。隙を見て逃げ出した彼女は、5年間姿を消す。その間に外国で戦闘のスキルを身に付けたライリーは、ロスに舞い戻って復讐を開始するのだった。



 いわば“「ランボー」の女性版”みたいな体裁のシャシンだが、元グリーンベレーで実戦経験も豊富なランボーとは違い、ライリーは普通の主婦に過ぎない。いくら鍛練を積んだといっても、わずか5年で殺人に対する忌避感も消え失せたバトルマシーンに変身するというのは、いくら何でも無理がある。

 しかも、彼女は無駄に強いのだ。悪者どもの放つ銃弾はほとんど当たらないのに、ライリーの射撃は百発百中(笑)。肉弾戦でも負けることは無い。ライリーの確保にFBIが乗り出すとか、警察内に組織への通報者がいるとかいったサブ・プロットも用意されているが、大して効果的ではない。

 斯様に大味な御膳立てながらあまり退屈しないのは、演出の上手さに尽きると思う。監督ピエール・モレルの仕事ぶりは的確で、シークエンスの繋ぎに無理がなく、ドラマが弛緩しない。またアクション場面はよく考えられており、ライリーの大暴れを“そんなバカな!”と突っ込みを入れつつも、楽しんでしまった。ラストに続編の製作を匂わせるあたりは御愛敬だ。

 主演のジェニファー・ガーナーは主人公の年齢設定よりも上にしか見えないが、かなり頑張っている。終盤には、序盤においてライリーが一般人であったことを忘れるほどだ。ジョン・オーティスやジョン・ギャラガー・Jr、フアン・パブロ・ラバといった脇の面子は可も無く不可も無しだが、サイモン・フラングレンの音楽とデイヴィッド・ランゼンバーグによるカメラワークは万全だ。

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