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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アンカット・ダイヤモンド」

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 (原題:UNCUT GEMS)2019年製作で、2020年1月よりNetflixにて配信された犯罪ドラマ。通常、映画は最初の10分間を観れば評価に値するかどうかは分かる。最初からテンポを掴めない作品が、途中から盛り返すケースはあまりない。しかし本作は、序盤どころか中盤過ぎまで要領を得ない展開が続くが、最後の約20分で怒濤の盛り上がりを見せ、結果として鑑賞後の満足度が高いという希有な事例だ。その意味で、観る価値はある。

 ニューヨークの宝石商ハワード・ラトナーは、大手の顧客を抱えて事業は順調のように見えるが、実はギャンブル三昧で借金の山を抱えていた。彼は義兄のアルノからも大金を借りているが、実はアルノはヤクザ者で、ハワードは常にアルノの用心棒たちから監視されている有様だった。ある日ハワードは、関係筋に手を回していたエチオピア産の希少なオパールを手に入れる。そのオパールにMBAのスター選手ケヴィン・ガーネットは興味を持つ、これがきっかけでオパール取引に本腰を入れて一発逆転を狙うハワードは、資金を集めるためハイリスクの賭けに挑戦する。

 冒頭のエチオピア鉱山の場面が、それからの映画の筋書きにリンクしないことに不満を覚えていると、ハワードの無軌道ぶりをメリハリなく延々と描く前半に、ただ呆れてしまう。ダメ人間を描くこと自体は別に問題は無いが、その語り口は冗長に過ぎる。ケヴィンとのやり取りや、アルノとの関係も漫然と示されるだけで訴求力が無い。ハワードの妻に関するパートに至っては、モタモタしていて至極退屈である。

 ところが、二進も三進もいかなくなったハワードが、アルノの一味を“監禁”し、その上で大勝負に出る終盤の展開は俄然ヴォルテージが高くなる。それまでのハワードの精彩の無い言動は、すべてがこのラスト近くの“大爆発”の伏線になっていると思うほどだ。ベニー&ジョシュ・サフディの演出は最後に本領を発揮したと言うべきだが、この瞬発力を中盤までにも出して欲しかった。

 主役のアダム・サンドラーは快演。胡散臭い山師ぶりを上手く表現していた。ジュリア・フォックスやイディナ・メンゼル、エリック・ボゴシアンといった脇の面子も良いのだが、NBAで活躍したケヴィン・ガーネットが“本人役”で出演しているのが興味深い。また、ザ・ウィークエンドが得意の歌声を披露しているのも見逃せない。なお、邦題とは違って劇中にはダイヤモンドが出てこないのは御愛敬か。

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