ハッキリ言って、古臭い映画だ。しかも、キャラクターの作り込みが浅く、各キャストの演技も褒められたものではない。ならば全然面白くない映画なのかといえば、決してそうではないのだ(笑)。本作の持つ、奇妙な懐かしさは独特の魅力がある。もっともそれは、80年代あたりの日本映画をリアルタイムで観た層(私を含む ^^;)に当てはまる話だろう。それ以外の観客は、まるでお呼びではない。
主人公の立夫は学生時代に撮った短編映画が高評価を得て、卒業後も映画に関わろうとしていたが実績を上げられず、結婚を機に東京を離れて北関東に移り住みサラリーマン生活を送っている。ある日、昔の恋人である満里奈から“会いたい”との連絡を受け、彼は数年ぶりに上京する。彼女も結婚していたが、そんなことはお構いなしに2人は濃密な時を過ごす。だが、すでにそんなに若くはない彼らは、後先考えずアバンチュールを続けられる立場にはなかった。
一応現代の話なのだが、登場人物たちの佇まいや振る舞いは3,40年前を思わせる。立夫が自主映画がモノになると考えていたこと自体が古い。2人がジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(84年)のマネをして喜ぶシーンがあるが、今どきの若い衆はそんなことはしない。立夫が使うカメラはフィルム式で、彼を含め周りの連中はところ構わずタバコを吸いまくる。そもそも、2人のファッションは妙にレトロである。
しかし、それらは観る者によってはノスタルジックに映るのだ。二度と戻らない青春を、昔のエクステリアに投影する方法は、けっこう琴線に触れるものがある。監督の下社敦郎はまだ30代だが、この年代で斯様な古めかしさを演出できるのは、ある種の才能かもしれない。
立夫役の森岡龍は主役としての“華”はなく、存在感は希薄でセリフ回しも一本調子だ。満里奈役の川上奈々美も同様だが、彼女はけっこう人気のあるAV女優とのことだ。しかし、それにしては色気が不足していて服を着ている方が可愛く見える(笑)。他のキャストも上手い演技をしていない。だが、それらも含めて許してしまえるほど、この映画のノスタルジーは捨てがたい。あと関係ないが、2人が行った小さな食堂で出される“特製カレーライス”が美味しそうだった。
主人公の立夫は学生時代に撮った短編映画が高評価を得て、卒業後も映画に関わろうとしていたが実績を上げられず、結婚を機に東京を離れて北関東に移り住みサラリーマン生活を送っている。ある日、昔の恋人である満里奈から“会いたい”との連絡を受け、彼は数年ぶりに上京する。彼女も結婚していたが、そんなことはお構いなしに2人は濃密な時を過ごす。だが、すでにそんなに若くはない彼らは、後先考えずアバンチュールを続けられる立場にはなかった。
一応現代の話なのだが、登場人物たちの佇まいや振る舞いは3,40年前を思わせる。立夫が自主映画がモノになると考えていたこと自体が古い。2人がジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(84年)のマネをして喜ぶシーンがあるが、今どきの若い衆はそんなことはしない。立夫が使うカメラはフィルム式で、彼を含め周りの連中はところ構わずタバコを吸いまくる。そもそも、2人のファッションは妙にレトロである。
しかし、それらは観る者によってはノスタルジックに映るのだ。二度と戻らない青春を、昔のエクステリアに投影する方法は、けっこう琴線に触れるものがある。監督の下社敦郎はまだ30代だが、この年代で斯様な古めかしさを演出できるのは、ある種の才能かもしれない。
立夫役の森岡龍は主役としての“華”はなく、存在感は希薄でセリフ回しも一本調子だ。満里奈役の川上奈々美も同様だが、彼女はけっこう人気のあるAV女優とのことだ。しかし、それにしては色気が不足していて服を着ている方が可愛く見える(笑)。他のキャストも上手い演技をしていない。だが、それらも含めて許してしまえるほど、この映画のノスタルジーは捨てがたい。あと関係ないが、2人が行った小さな食堂で出される“特製カレーライス”が美味しそうだった。