(原題:RIDE LIKE A GIRL)ドラマ部分は大したことがはない。展開が平板だし、監督がこれが第一作ということもあるが、素人臭い御膳立てが目立つ。だが、メインである競馬レースのシーンはかなり盛り上がる。また、今まで知らなかったオーストラリアの競馬事情を紹介してくれたのも有り難い。
10人きょうだいの末娘として生まれたミシェル・ペインは、馬の調教師である父親のもと、騎手である兄や姉に囲まれて健やかに育つ。成長した彼女は、家族の影響もあって騎手を志望するようになる。厳しい訓練の末に、やっとデビューを飾ったミシェルだが、当初から実力を発揮。珍しい女性騎手ということで世間の注目を浴びる。
ところが、コンディションの悪い状態で強行出場したレースで、落馬してしまう。一命は取り留めたものの脳に重大なダメージを負った彼女は、復帰は無理だと誰しも思っていた。2015年のメルボルンカップで、女性騎手として初めて優勝したミシェル・ペインの半生を追った実録映画だ。
元々俳優であるレイチェル・グリフィスの演出はメリハリに乏しく一本調子で、盛り上がるべき箇所とそうではない部分との切り分けが上手くいっていないように思う。また、決して短くはない時間軸を駆け足で進めているせいか、結果としてエピソードの羅列に終わっている感がある。そして、何かというと場を持たせるためか、当時のヒット曲が芸も無く流れるのには閉口した。ここはたとえば強力なライバルを用意するとか、明らかな敵役を据えるとかして、ドラマの方向性を整えた方が良かった。
しかしながら、レースの場面はよく撮れていると思う。メルボルンカップという大会の存在は今回初めて知ったが、その規模には驚かされた。距離が3.2kmというのはかなり長い方だが、何と24頭立てだ(ちなみに、英国ダービーステークスは16頭立て、国内では日本ダービー等の18頭立てが最大)。これだけ派手だと、映画としては実に見栄えがする。また、業界内での男女格差問題に関しても、ちゃんと言及されている。
主演のテリーサ・パーマーは、前半のヒロインの女子高生時代は年齢面で辛いものがあるが(笑)、それ以外はよくやっていると思う。父親に扮したサム・ニールも、さすがの貫録を発揮。そして特筆すべきはダウン症の兄役のスティーヴィー・ペインで、実は“本人”が演じている。しかも彼は見るからに心優しいキャラクターで、ミシェルの良き協力者として、本当にイイ味を出している。マーティン・マクグラスのカメラがとらえた競馬場およびその周辺、そしてヒロインの故郷の風景は、本当に美しい。
10人きょうだいの末娘として生まれたミシェル・ペインは、馬の調教師である父親のもと、騎手である兄や姉に囲まれて健やかに育つ。成長した彼女は、家族の影響もあって騎手を志望するようになる。厳しい訓練の末に、やっとデビューを飾ったミシェルだが、当初から実力を発揮。珍しい女性騎手ということで世間の注目を浴びる。
ところが、コンディションの悪い状態で強行出場したレースで、落馬してしまう。一命は取り留めたものの脳に重大なダメージを負った彼女は、復帰は無理だと誰しも思っていた。2015年のメルボルンカップで、女性騎手として初めて優勝したミシェル・ペインの半生を追った実録映画だ。
元々俳優であるレイチェル・グリフィスの演出はメリハリに乏しく一本調子で、盛り上がるべき箇所とそうではない部分との切り分けが上手くいっていないように思う。また、決して短くはない時間軸を駆け足で進めているせいか、結果としてエピソードの羅列に終わっている感がある。そして、何かというと場を持たせるためか、当時のヒット曲が芸も無く流れるのには閉口した。ここはたとえば強力なライバルを用意するとか、明らかな敵役を据えるとかして、ドラマの方向性を整えた方が良かった。
しかしながら、レースの場面はよく撮れていると思う。メルボルンカップという大会の存在は今回初めて知ったが、その規模には驚かされた。距離が3.2kmというのはかなり長い方だが、何と24頭立てだ(ちなみに、英国ダービーステークスは16頭立て、国内では日本ダービー等の18頭立てが最大)。これだけ派手だと、映画としては実に見栄えがする。また、業界内での男女格差問題に関しても、ちゃんと言及されている。
主演のテリーサ・パーマーは、前半のヒロインの女子高生時代は年齢面で辛いものがあるが(笑)、それ以外はよくやっていると思う。父親に扮したサム・ニールも、さすがの貫録を発揮。そして特筆すべきはダウン症の兄役のスティーヴィー・ペインで、実は“本人”が演じている。しかも彼は見るからに心優しいキャラクターで、ミシェルの良き協力者として、本当にイイ味を出している。マーティン・マクグラスのカメラがとらえた競馬場およびその周辺、そしてヒロインの故郷の風景は、本当に美しい。