スピーカーケーブルを一組調達したので使用感をリポートしたい。先日ディーラーに“保有しているスピーカーがKEFのLS50だが、これに合うケーブルを教えて欲しい”と伝えたところ、奨めてくれたのがZonotoneの6NSP−2200S Meisterだ。
Zonotoneというのは国内メーカーで、以前Ortfonの日本法人に所属していた技術スタッフが独立して発足させたブランドである。販売拠点は幅広く、家電量販店であっても単品オーディオ機器を扱っているところにはZonotone製品は置かれている。ただし、ブランド名が主宰者の名前から由来していることも考え合わせると、実質的にはエンジニア個人の嗜好が色濃く反映された商品展開をしているという見方も出来る。
実際に繋げて音を出してみると、私が常用しているBeldenなどの業務用ケーブルとはかなり違うテイストを持っていることが分かる。もちろん業務用と民生用とでは音の組み立て方が異なるが、このZonotoneは(私の知る限り)他の民生用ケーブルとも似ていない。独特の個性を演出している。
音場が横方向に広い。各音像はそれに応じてフラットに並んでいるという感じだ。ならば奥行きに乏しい平板な音なのかというと、そうでもない。音像のエッジ及び付帯音を細かく表現しているような“味付け”が施されているためか、前後方向の狭さが巧みにカバーされている感じだ。
感心したのは、別の国内ブランドの製品のようにハイファイ度を強調するあまり妙に聴き辛い展開には持って行っていないこと。帯域面でのフラット路線が堅持されているようだ。
ただし、中域を重視した欧米製ケーブル(まあ、全てそうではないと思うが ^^;)に比べると、ヴォーカルは引っ込んだ感じがする。それに、繋ぐシステムによってヴォーカルのサ行がキツくなる。私のシステムでも当初はサ行がいたずらに強調されて閉口したが、プレーヤーとアンプとを繋ぐRCAケーブルを硬めの音が出るMOGAMIの2534から別のものに替えると、気にならない程度に改善された。なお、手持ちのRCAケーブルの中では吉田苑のLSSCが相性が良かった。
皮膜は硬く、芯線を出すのに苦労する。また、接続する際に無造作に扱うと芯線が数本切れたりするので要注意だ。
高純度の素材を採用しているせいか、音には“着色”が感じられるが、不愉快になるほどではない。解像度は確保されているので、たとえばスピーカーに付属しているケーブルからこのZonotoneにチェンジするとかなりの音質アップが分かりやすい形で示されると思うので、初心者にも奨められるだろう。