昭和33年日活作品。福岡市総合図書館映像ホール「シネラ」での特集上映にて観賞。石原慎太郎の原作を、彼自身と舛田利雄が脚色し、舛田が監督した往年の日活アクションドラマの一編だ。観た印象としては“古い”と言わざるを得ないが、出ている面子のスター性により、無視できない存在感を発揮している。
舞台は新興の工業都市。ここで運輸会社を営む勝又は、実は地元のヤクザの大物でもある。事件が起こるたびに参考人として何度も警察に呼び出されるが、当局側も決め手を欠き、起訴に追い込めない。そんな中、5年前に自殺した市会議員は他殺だという投書が検察に届く。これを書いた島原はその事件を目撃しており、他に橘と寺田という二人の男も一緒だったという。しかし、ヤクザ側をも強請ろうとした島原は、何者かによって列車から突き落され死亡。その魔の手は今ではバーを経営している橘と、そこで働いている寺田にも迫ってくる。
随分と突っ込みどころの多い作劇だ(笑)。警察署の周りではライフルを持った悪者が徘徊し、追跡するため主人公が飛び乗った他人の車にはなぜかキーが付いたままだし、拘留された容疑者は怪しい奴が差し入れた毒まんじゅうを食べて死んでしまう。黒幕の存在は取って付けたようだし、しかも終盤の決着の付け方はワケが分からない。ダンプカー同士のカーチェイスという見せ場もあるのだが、車の動きとハンドルの切り方が全然シンクロしておらず、思わず失笑してしまった。
ところが、出演している連中が醸し出すオーラを見せつけられると、そんなことは笑って許してしまいたくなる。主演の石原裕次郎はやっぱり“華”があり、演技が多少大根でも観ていて引きつけられてしまう。しかも、若い頃の小林旭や宍戸錠も顔を揃えているのだから、言うことなしだ。
勝又には杉浦直樹が扮しているが、これがまた“垢抜けているのに凄味がある”という出色の悪役ぶり。北原三枝や白木マリの女優陣も悪くないのだが、野郎共と比べると影が薄いのは仕方がない。そして特筆すべきは音楽で、上原賢六の作曲による有名な主題歌もさることながら、佐藤勝のスコアが迫力満点で光っている。
昭和33年といえば、映画興業が最高の収益を上げた時期でもある。その一翼を担っていたのが、こういう“スター映画”だったのだろう。今では通用しない方法論であることは分かるが、無くなってしまったのは何とも寂しく思う。
舞台は新興の工業都市。ここで運輸会社を営む勝又は、実は地元のヤクザの大物でもある。事件が起こるたびに参考人として何度も警察に呼び出されるが、当局側も決め手を欠き、起訴に追い込めない。そんな中、5年前に自殺した市会議員は他殺だという投書が検察に届く。これを書いた島原はその事件を目撃しており、他に橘と寺田という二人の男も一緒だったという。しかし、ヤクザ側をも強請ろうとした島原は、何者かによって列車から突き落され死亡。その魔の手は今ではバーを経営している橘と、そこで働いている寺田にも迫ってくる。
随分と突っ込みどころの多い作劇だ(笑)。警察署の周りではライフルを持った悪者が徘徊し、追跡するため主人公が飛び乗った他人の車にはなぜかキーが付いたままだし、拘留された容疑者は怪しい奴が差し入れた毒まんじゅうを食べて死んでしまう。黒幕の存在は取って付けたようだし、しかも終盤の決着の付け方はワケが分からない。ダンプカー同士のカーチェイスという見せ場もあるのだが、車の動きとハンドルの切り方が全然シンクロしておらず、思わず失笑してしまった。
ところが、出演している連中が醸し出すオーラを見せつけられると、そんなことは笑って許してしまいたくなる。主演の石原裕次郎はやっぱり“華”があり、演技が多少大根でも観ていて引きつけられてしまう。しかも、若い頃の小林旭や宍戸錠も顔を揃えているのだから、言うことなしだ。
勝又には杉浦直樹が扮しているが、これがまた“垢抜けているのに凄味がある”という出色の悪役ぶり。北原三枝や白木マリの女優陣も悪くないのだが、野郎共と比べると影が薄いのは仕方がない。そして特筆すべきは音楽で、上原賢六の作曲による有名な主題歌もさることながら、佐藤勝のスコアが迫力満点で光っている。
昭和33年といえば、映画興業が最高の収益を上げた時期でもある。その一翼を担っていたのが、こういう“スター映画”だったのだろう。今では通用しない方法論であることは分かるが、無くなってしまったのは何とも寂しく思う。