(原題:More American Graffiti)79年作品。ジョージ・ルーカス監督の出世作になった「アメリカン・グラフィティ」(73年)は、いまだにこの時期を代表する青春映画の佳編として知られているが、パート2のこの作品を覚えている者はそう多くはないと思う。もとより話としては前作で“完結”しており、続編を作る必要があったのかは疑問だ。しかしながら、技巧的にある意味“攻めた”作りで、パート1ではあまりクローズアップされていなかった各キャラクターを個別に描いている点は評価していい。
1964年の大晦日。ジョン・ミルナーはドラッグ・レースの地区チャンピオンまで上り詰めていた。ライバル達が顔を揃えるこの年最後のレースを前に燃えている彼だが、同時に北欧からの留学生であるエヴァに何とかアタック出来ないかと悩んでいた。65年の大晦日。陸軍に入ったテリー・フィールズはベトナムの最前線に送られ、地獄のような境遇の中にあった。ある日、搭乗していたヘリコプターが被弾して不時着。何とか九死に一生を得るが、彼の願いはいつか故国に帰ることだった。
66年の大晦日。ヒッピーとなったデビーはロック・ミュージシャンと同棲していたが、マリファナを吸って拘置所に入れられる。保釈金で出ることはできたが、その後親友のレインボーとフェスに出場していたグループと一緒に行動するうち、いつのまにかバンドのメンバーになっていた。67年の大晦日。ローリーとスティーヴは結婚していたが、早くも倦怠期に突入。この日も外で仕事をしたいと言うローリーにスティーヴは反対して口論になるが、ふとしたことから大学キャンパスの反戦デモに巻き込まれてしまう。
4つの時制、そしてどれも大晦日の出来事を描き、各エピソードの共通点としてスコットランド民謡“蛍の光”が流れるという凝った作り。さらにはスクリーンのサイズをエピソードごとに切り替え、画面分割によって各時制を同時に映し出すなど、思い切った映像処理が成されている。
演出にあたったのはB・W・L・ノートンだが、他の監督作を知らないので彼がどういう作風を持つのか分からない。ただ、かなり作家性を前面に出していることは確かだ。この、いわばスノッブでスタイリッシュな雰囲気が前作ほどの評判を得られなかった理由かと思うが、これはこれで面白い。何より、60年代後半以降のアメリカ社会の混迷と、夢のような学生時代を終えて厳しい現実に向き合う登場人物たちの悩みと戸惑いを、巧みにクロスさせているあたりはポイントが高い。
前回の主人公であったリチャード・ドレイファス演じるカートは登場しないが、キャンディ・クラークやロン・ハワード、マッケンジー・フィリップス、チャールズ・マーティン・スミス、シンディ・ウィリアムズらが同じ役柄で連続登板しているのは嬉しい。また、ハリソン・フォードがチョイ役で出ている。ロザンナ・アークエットが端役で映画デビューしているらしいが、私は気が付かなかった(笑)。