(原題:MIDNIGHT RUN)88年作品。マーティン・ブレスト監督は寡作のようだが、その中でも一番出来が良いと思われるのが本作。犯罪が絡んだロード・ムービーという王道の設定で、演出にテンポもキレもあり、加えてキャストは皆芸達者。コメディ仕立てで最後まで楽しませてくれる。「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」(92年)や「ジョー・ブラックをよろしく」(98年)のように、上映時間が無駄に長くないのも嬉しい。
ジャック・ウォルシュはシカゴ警察を依願退職し、今ではロスアンジェルスでバウンティ・ハンターをしている。金融会社社長エディの依頼を受け、ギャングのジミー・セラノの金を横領した経理係のジョナサン・マデューカスの行方を追う。一方でFBI捜査官モーズリもジョナサンを確保しようとするが、ジャックはまんまとモーズリを出し抜いてニューヨークでジョナサンを捕まえる。だが、飛行機恐怖症のジョナサンのおかげでジャックはやむなく陸路でロスに向かうハメに。こうして、捜査当局とギャングの両方に付け狙われることになった2人の、必死の逃避行が始まる。
逃避行といっても、剣呑な雰囲気が充満しているわけではなく、ユーモアを散りばめたバディ・ムービーとしてドラマは軽快に進む。途中で激流の中での立ち回りを演じたり。酒場から金を盗んで列車に潜り込んだりといった活劇場面はあるが、描写自体は良い感じに“ゆるい”。
実はジャックは筋の通らないことは大嫌いなタチで、警察を辞めたのは不正を許さなかったからだ。おかげで孤立してしまい、妻子と別れたのもそれが原因かと思わせる。対してジョナサンは楽天的で優しい性格だ。水と油みたいなキャラクターの2人の間に、困難を乗り越えるたびに友情が芽生えてくるのは定石通りながら悪くない展開だ。
終盤は凝った仕掛けが用意されており、また幕切れも鮮やか。ロバート・デ・ニーロは実に楽しそうに主役を演じ、チャールズ・グローディンにヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリーナと、派手さは無いが堅実なキャスティングが功を奏している。
なお、ブレスト監督はヒット作「ビバリーヒルズ・コップ」(84年)を手掛けたことでも知られているが、正直言ってあの映画は出来が良いとは言い難い。しかしながら、あっちは主人公の造型が面白かったのでその後シリーズ化された。どちらかといえば、この「ミッドナイト・ラン」の方が続編および続々編を作りやすいと思ったのだが、世の中分からないものだ。なお、ドナルド・ソーリンの撮影とダニー・エルフマンの音楽は及第点である。
ジャック・ウォルシュはシカゴ警察を依願退職し、今ではロスアンジェルスでバウンティ・ハンターをしている。金融会社社長エディの依頼を受け、ギャングのジミー・セラノの金を横領した経理係のジョナサン・マデューカスの行方を追う。一方でFBI捜査官モーズリもジョナサンを確保しようとするが、ジャックはまんまとモーズリを出し抜いてニューヨークでジョナサンを捕まえる。だが、飛行機恐怖症のジョナサンのおかげでジャックはやむなく陸路でロスに向かうハメに。こうして、捜査当局とギャングの両方に付け狙われることになった2人の、必死の逃避行が始まる。
逃避行といっても、剣呑な雰囲気が充満しているわけではなく、ユーモアを散りばめたバディ・ムービーとしてドラマは軽快に進む。途中で激流の中での立ち回りを演じたり。酒場から金を盗んで列車に潜り込んだりといった活劇場面はあるが、描写自体は良い感じに“ゆるい”。
実はジャックは筋の通らないことは大嫌いなタチで、警察を辞めたのは不正を許さなかったからだ。おかげで孤立してしまい、妻子と別れたのもそれが原因かと思わせる。対してジョナサンは楽天的で優しい性格だ。水と油みたいなキャラクターの2人の間に、困難を乗り越えるたびに友情が芽生えてくるのは定石通りながら悪くない展開だ。
終盤は凝った仕掛けが用意されており、また幕切れも鮮やか。ロバート・デ・ニーロは実に楽しそうに主役を演じ、チャールズ・グローディンにヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリーナと、派手さは無いが堅実なキャスティングが功を奏している。
なお、ブレスト監督はヒット作「ビバリーヒルズ・コップ」(84年)を手掛けたことでも知られているが、正直言ってあの映画は出来が良いとは言い難い。しかしながら、あっちは主人公の造型が面白かったのでその後シリーズ化された。どちらかといえば、この「ミッドナイト・ラン」の方が続編および続々編を作りやすいと思ったのだが、世の中分からないものだ。なお、ドナルド・ソーリンの撮影とダニー・エルフマンの音楽は及第点である。