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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「恋人たちの予感」

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 (原題:When Harry Met Sally... )89年作品。ロブ・ライナー監督の、おそらく全盛期の一作。ノーラ・エフロンの絶妙な脚本を得て、弾けるような恋愛模様を謳い上げる。キャストの好演も相まって、鑑賞後の満足度は実に高い。

 77年、シカゴの大学を卒業したばかりのハリーとサリーは、偶然に同じ車でニューヨークまで出掛けることになる。しかし初対面だった2人の相性は最悪で、ことごとく意見は対立。目的地に着くと、早々に別れてしまう。5年後、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で恋人ジョンと一緒にいたサリーは、思いがけずハリーに再会する。

 その時は2人とも互いの名前を覚えていたことに驚くが、乗り込む飛行機が同じで、しかも席が隣り合わせ。ハリーとサリーはまたしても口論になるが、結婚を控えていたハリーはどこか余裕があった。さらに5年後、離婚直前のハリーと、失恋したサリーがまたしても再会した。これも何かの縁ということで2人は友達同士になろうとするが、やっぱり何か違うと思い始める。

 自身と正反対のキャラクターを持つ異性に惹かれるというのは、よくある話である。ところが、そんな場合は初めから上手くいくことはあまり無い。互いに反発してケンカ別れするのがオチだ。ただし、そこを何とか我慢して歩み寄れば、最良のカップルになることもある。

 本作の場合、自分の本当の気持ちが分かるまで約10年を要したという、まるで大河ドラマみたいな(笑)恋路をリズミカルに追っている。そもそも、2回目に会ったときそれぞれの名前を覚えていたという時点で2人は状況を把握して然るべきだと思うのだが、そうならないのが何とも面白い。

 さらに、三度目の邂逅を経て2人はなおも“友人関係”というモラトリアムな位置に留まろうとするのだから、この筋金入りの優柔不断ぶりには笑ってしまった。また男女間に友情は成立するのかという余計なモチーフに拘泥するに及んで、その変化球の連投には手を叩きたくなる。まったく、どこまで寄り道すれば気が済むのか。

 ライナーの演出は淀みがなくドラマをテンポ良く進ませる。主演のビリー・クリスタルとメグ・ライアンは絶好調で、ギャグの繰り出し方も堂に入っており、大いに楽しませてくれる。キャリー・フィッシャーやブルーノ・カービーも抜群のコメディ・リリーフだ。バリー・ソネンフェルドのカメラによる美しい映像と、ハリー・コニック・ジュニアの音楽が場を盛り上げる。まさにラブ・コメディの金字塔だ。

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