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Channel: 元・副会長のCinema Days
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ROTELのアンプを試聴してみた。

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 このROTELというブランド名はあまり聞かないが、古くからある日本のメーカーである(設立は61年)。私がオーディオに本格的に興味を持ち始めたのが70年代後半だが、その頃には専門誌にこの会社の広告が載っていたように思う。ところが80年代以降はまったく見かけなくなった。会社を畳んだのか、あるいはオーディオから手を引いたのかと思っていたが、販売拠点を海外に移してかなりの実績をあげているらしい。

 製品そのものはコンスタントに日本でも流通していたらしいが、実機に触れるのは初めてだ。まず聴いてみたのはプリアンプのRC−1580とメインアンプのRB−1582の組み合わせである。CDプレーヤーは米国PS AUDIO社の製品、スピーカーはデンマークのDYNAUDIO社のConfidence C1 Signatureという100万円強のものを繋いでいた。

 その時はSOULNOTEのセパレートアンプと聴き比べた形になるが、とても聴きやすい音だと感じた。フラットな特性で、解像度は十分に確保されている。暖色系のサウンドで、押しつけがましいところや余計なケレンはない。Confidence C1 Signatureは決して鳴らしやすいスピーカーではないのだが、中低域が腰砕けになることも無く、堂々とドライヴしていたのには驚いた。

 言い忘れたが、SOULNOTEのセパレートアンプというのは同社がFANDAMENTALブランドで売り出している高額品だ。対してROTELはプリとメイン合わせて定価36万円。実売価格は30万円を切る。この値段で十分な駆動力を保持しているのは立派だと思う。

 次に試聴したのがプリメインアンプのRA−1520である。定価は12万8千円で、同社の中堅モデルだ。CDプレーヤーは同じROTELのRCD−1520、スピーカーが英国B&W社の805Dというラインナップで聴いてみた。

 前述のセパレート型アンプと同様、フラット指向の聴感上の特性と、温かみのある音色が印象的だ。805Dも実力を発揮させるのは難しいスピーカーで、非力なアンプを繋げると高域のクセばかり目立って聴き辛い音になる。しかしこのRA−1520はアラを出さずに粛々とサウンドを送り出していて、その堅実さは特筆されよう。



 比較する意味で、同じ店にあったMARANTZのプリメインアンプPM−15S2(定価15万円強)に805Dを接続して聴いてみた。結果は一目瞭然ならぬ一聴瞭然である。RA−1520の圧勝だ。PM−15S2は店頭効果を高めるためか、中高域に余計なケレンが付与されている。805Dのようなアンプ類の素性をストレートに出すスピーカーだと、その“下心”が丸分かりだ。チャラチャラとした不快な音しか出てこない。

 10万円台のプリメインアンプではSOULNOTEのsa3.0とNmodeのX−PMF2がクォリティの面では“双璧”であるが、RA−1520はそれに続くものだろう。しかもsa3.0とX−PMF2はヴォリュームと入力切替しか付いていないスパルタンなモデル。対してRA−1520はトーンコントロールやヘッドフォン端子など、一通りのものは装備されている。一般的に広く奨められる製品だ。

 正直言って、ROTELの製品は“見栄え”の面ではさほどのアドバンテージは期待出来ない。MARANTZのようなシャンペンゴールド仕上げや、DENONのPMA−2000REのようなデカくて重い製品の方が良いというユーザーは、ハナから相手にしないだろう。しかし、中身や使い勝手を優先したいという実用本位の選び方をするリスナーにとっては、十分に購入候補になり得る。扱っている店は限られるが、聴けるショップに足を運べるオーディオファンは、是非とも実機に触れることをお奨めしたい。

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