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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「青の帰り道」

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 筋書きが作為的である点は愉快になれないが、昨今の邦画では少数派と思われる“ラブコメ以外の若者映画(しかも辛口)”として真面目に取り組もうとした姿勢は評価できる。キャストの頑張りも相まって、鑑賞後の印象はそれほど悪いものではない。

 2008年。群馬県の地方都市で卒業を控えた7人の高校生は、それぞれの将来の夢を語り合い、希望を持って新しい未来へと進んで行くはずだった。しかし、学校を出てからの彼らは理不尽な現実を前に立ちすくむばかり。7人の中には家族と反目し合って実家を出る者や、医大に入るつもりが受験に失敗して浪人生活を余儀なくされる者、素行に問題があって犯罪に手を染める者などがいて、いずれも先の見えない境遇に追い込まれていた。

 そして数年の月日が流れ、彼らは再び顔を合わせることになる。だが、各々が歩んだ人生のステージには差異が生じ、もう昔のように簡単に打ち解けることは無かった。元タレントで現在は経営者である岡本麻理の原案を基にして、オリジナルの脚本が作成されている。

 登場人物たちの挫折を描くこと自体は問題は無いが、あまりにも話が大げさではないか。歌手志望のカナは芸能プロダクションに入るが、与えられた仕事は不本意なものばかり。果ては精神のバランスを崩して自暴自棄になる。アートの道に進むはずだったキリはドロップアウトしてカナのマネージャーになるが、悪い男にだまされて心身ともに消耗する。

 周囲からの多大な期待に応えることが出来ず、大学に落ち続けたタツオは引き籠るばかり。ヤンチャだったリョウは振り込み詐欺の片棒を担ぐようになり、悪の道まっしぐらだ。結局、まともな生活基盤を得たのは、地元に残って早々に所帯を持ったマリコとユウキだけだったという皮肉。

 ストーリーをドラマティックに仕上げたかったのだろうが、これではワザとらしくて鼻白むばかり。そもそも、不良とガリ勉、ミュージシャン志望に普通の奴といったバラバラなキャラクターが7人も集まって学生時分につるんでいるのも不自然だ。しかし、“若い頃にはいろいろあるものだが、それでも生きなければならない”という作者の気負いと達観が前に出た結果とも思えるので、気分を害することは無い。

 藤井道人の演出は奇をてらわずに正攻法で挑んでいる。出演者は皆好演だが、中でもカナに扮する真野恵里菜は大健闘と言っていい。役柄もアイドルから役者に転じた彼女自身を投影していると思う。キリ役の清水くるみやタツオを演じる森永悠希は将来楽しみな素材だ。工藤夕貴や平田満といったベテランもいい仕事をしている。

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