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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」

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 (原題:YEAR OF THE DRAGON)85年作品。第6回ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞をはじめ各部門の候補になったシャシンとして知られ、私自身も評価していないのだが、日本ではかなり話題になったことを覚えている。これはひとえに主演俳優の人気ゆえだろう。言い換えれば、これがもしもキャストが少しでも地味だったら、完全に埋もれていたと思われる。

 ベトナム戦争から帰還したスタンリー・ホワイトは、ニューヨーク市警で刑事として働いていた。管轄は犯罪の頻発するチャイナタウンで、ターゲットは麻薬取引を仕切るチャイニーズ・マフィアである。強引な捜査で相手のボス達と激しく対立するスタンリーだが、警察の上層部はマフィアと暗黙の協定を結んでおり、事を荒立てたくない。そのため警察内部でもスタンリーは次第に煙たがられるようになる。



 一方、マフィアの若き親玉ジョーイ・タイは、他の犯罪組織を次々と壊滅させ暗黒街の顔役にのし上がっていく。頻発する殺人事件の裏側でタイが糸を引いていることを知ったスタンリーは、彼を逮捕すべく敢然と戦いを挑む。

 本作の監督はマイケル・チミノで、脚本がオリヴァー・ストーンである。こういう“腕力の強い”2人がタッグを組むと相乗効果で実績を残すことがあるが、同時に互いの相性が悪くて要領を得ない結果になる可能性も大きい。この映画は後者だ。

 ベトナム帰りのスタンリーは東欧系で、タイと同じく差別の対象である。だから民族問題を正面に打ち出そうとしていることは分かるが、演出もシナリオもその“設定”ばかりを強調し、肝心のドラマ作りは置き忘れているような感じを受ける。スタンリーの言動は直截的に過ぎて深みが無い。タイも目的のためなら手段を選ばない残忍さを見せるが、どうも薄っぺらで単にツッパっている印象だ。

 プロット面で何か工夫されているかというと、そうでもない。一度として興味を惹かれる展開が見られないのだ。ラストも弱体気味。しかしながら、当時は人気が高かったミッキー・ロークと、ジョン・ローンの端正なルックスがスクリーンを飾ると、何となく観て損した気はしないのだから世話がない(笑)。なお、デイヴィッド・マンスフィールドの音楽とアレックス・トムソンの撮影は確かな仕事だと思った。

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