(原題:HEROES)77年作品。ベトナム戦争を扱ったアメリカ映画としては「ディア・ハンター」(78年)あたりがその嚆矢だと思われているのかもしれないが、実はそれ以前から何本か作られていた。もっとも、マーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」(76年)がそうであったように、それらは戦地の話ではなく主に帰還兵を描いていた。本作もその一つだ。
ベトナムに従軍していたジャックは帰国してもなかなか社会復帰が出来ず、街角で若者を軍に勧誘しようとしていた兵士と乱闘事件を起こした挙句に精神病院に入れられてしまう。彼にはかつての戦友たちと事業を起こすという夢があり、それを実現するために病院を脱走する。
途中、彼はキャロルという若い女と知り合い、共にバス旅行を始める。彼女は結婚を間近に控えていたが、もう一度自分を見つめ直すために旅に出たのだという。やがてジャックは昔の戦友の一人ケンに再会することが出来たが、相手は乗り気ではない。仕方なくもう一人のかつての仲間ユレカを訪ねるが、そこで意外な事実が明らかになる。
ジャックが病院を勝手に抜け出すくだりや、キャロルとの珍妙なやり取りなどは、軽快なコメディ・タッチで綴られる。またケンはスピードレーサーでもあることから、レースの場面はアクション映画の風味もある。だが、そんな表面上の明るさの裏に、ベトナムの惨状を次第に暗示させていくという作劇は見事だ。
終盤にはドラマの水面下に隠れていた戦場の真実が一気に表面化し、スペクタクルな場面が現出。それに続くラストの処理には、心が締め付けられた。
TV「刑事コロンボ」などのディレクターでもあったジェレミー・ケイガンの演出は、硬軟使い分ける達者なものだ。主役のヘンリー・ウィンクラーは飄々とした妙演。キャロルに扮したサリー・フィールドも、コメディエンヌとしての素養が前面に出た快演を見せる。また、若き日のハリソン・フォードがケン役として参加しているのも嬉しい。
劇中の音楽はジャック・ニッチェが担当しているが、それよりもラストに流れるカンサスのナンバー「キャリー・オン・ウェイワード・サン」(邦題は「伝承」)が大きな効果を上げていた。
ベトナムに従軍していたジャックは帰国してもなかなか社会復帰が出来ず、街角で若者を軍に勧誘しようとしていた兵士と乱闘事件を起こした挙句に精神病院に入れられてしまう。彼にはかつての戦友たちと事業を起こすという夢があり、それを実現するために病院を脱走する。
途中、彼はキャロルという若い女と知り合い、共にバス旅行を始める。彼女は結婚を間近に控えていたが、もう一度自分を見つめ直すために旅に出たのだという。やがてジャックは昔の戦友の一人ケンに再会することが出来たが、相手は乗り気ではない。仕方なくもう一人のかつての仲間ユレカを訪ねるが、そこで意外な事実が明らかになる。
ジャックが病院を勝手に抜け出すくだりや、キャロルとの珍妙なやり取りなどは、軽快なコメディ・タッチで綴られる。またケンはスピードレーサーでもあることから、レースの場面はアクション映画の風味もある。だが、そんな表面上の明るさの裏に、ベトナムの惨状を次第に暗示させていくという作劇は見事だ。
終盤にはドラマの水面下に隠れていた戦場の真実が一気に表面化し、スペクタクルな場面が現出。それに続くラストの処理には、心が締め付けられた。
TV「刑事コロンボ」などのディレクターでもあったジェレミー・ケイガンの演出は、硬軟使い分ける達者なものだ。主役のヘンリー・ウィンクラーは飄々とした妙演。キャロルに扮したサリー・フィールドも、コメディエンヌとしての素養が前面に出た快演を見せる。また、若き日のハリソン・フォードがケン役として参加しているのも嬉しい。
劇中の音楽はジャック・ニッチェが担当しているが、それよりもラストに流れるカンサスのナンバー「キャリー・オン・ウェイワード・サン」(邦題は「伝承」)が大きな効果を上げていた。