2000年作品。監督の市川崑が唯一残したアニメーション映画である。公開当時には“市川御大も老いた。注目作はもう撮れない”という声もあったらしいが、本作を観る限り、かなり頑張って作られた佳編になっている。それどころか斬新なテクノロジーが導入されており、アニメーション技法をチェックするだけでも観る価値がある。
1864年に京都で勃発した池田屋騒動の後、事件を引き起こした新選組に常陸志筑藩を脱退した伊東甲子太郎ほか十数名が加入してくる。局長の近藤勇は伊東を高く評価して参謀に任命するが、土方歳三は実は勤皇派である伊東に不信感を抱いていた。やがて土方の懸念は現実化し、伊東は有志と“御陵衛士隊”を結成すると新選組から脱退してしまう。
1867年の大政奉還により守護職を外された新選組は、鳥羽・伏見の戦いへの参加を命じられる。しかし、装備で勝る官軍に敵うはずもなかった。黒鉄ヒロシによる同名の漫画の映画化だ。
黒鉄の原画から抜き出した切り絵のキャラクターを操作して、それをそのまま撮影するという方式は公開当時“ヒューマングラフィック崑メーション”と銘打たれていたらしいが、これは決して漫画のハリボテが右往左往するだけの単なる“人形劇もどき”ではない。
漫画だけの画面や実写なんかも挿入されており、映像にメリハリを持たせている。照明や効果音には細心の注意が払われており、カメラワークにも抜かりはない(撮影は五十畑幸勇)。谷川賢作による音楽も的確だ。
声の出演は中村敦夫をはじめ中井貴一、原田龍二、石橋蓮司、石坂浩二、萬田久子、清水美砂、岸田今日子と、かなり豪華である。何より新選組の成立から消滅までを(歴史的背景を無視せずに)コンパクトに1時間半にまとめた脚本が良く、それでいて主要キャラクターは十分に“立って”いるのだから言うことなしである。
新選組を扱った映画としては、三隅研次監督の「新撰組始末記」(63年)にはちょっと負けるかもしれないが、大島渚監督の「御法度」(99年)よりは遙かに良い出来だ。
1864年に京都で勃発した池田屋騒動の後、事件を引き起こした新選組に常陸志筑藩を脱退した伊東甲子太郎ほか十数名が加入してくる。局長の近藤勇は伊東を高く評価して参謀に任命するが、土方歳三は実は勤皇派である伊東に不信感を抱いていた。やがて土方の懸念は現実化し、伊東は有志と“御陵衛士隊”を結成すると新選組から脱退してしまう。
1867年の大政奉還により守護職を外された新選組は、鳥羽・伏見の戦いへの参加を命じられる。しかし、装備で勝る官軍に敵うはずもなかった。黒鉄ヒロシによる同名の漫画の映画化だ。
黒鉄の原画から抜き出した切り絵のキャラクターを操作して、それをそのまま撮影するという方式は公開当時“ヒューマングラフィック崑メーション”と銘打たれていたらしいが、これは決して漫画のハリボテが右往左往するだけの単なる“人形劇もどき”ではない。
漫画だけの画面や実写なんかも挿入されており、映像にメリハリを持たせている。照明や効果音には細心の注意が払われており、カメラワークにも抜かりはない(撮影は五十畑幸勇)。谷川賢作による音楽も的確だ。
声の出演は中村敦夫をはじめ中井貴一、原田龍二、石橋蓮司、石坂浩二、萬田久子、清水美砂、岸田今日子と、かなり豪華である。何より新選組の成立から消滅までを(歴史的背景を無視せずに)コンパクトに1時間半にまとめた脚本が良く、それでいて主要キャラクターは十分に“立って”いるのだから言うことなしである。
新選組を扱った映画としては、三隅研次監督の「新撰組始末記」(63年)にはちょっと負けるかもしれないが、大島渚監督の「御法度」(99年)よりは遙かに良い出来だ。