Quantcast
Channel: 元・副会長のCinema Days
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

フォルクスワーゲンのup!を購入した。(その1)

$
0
0
 今回新たに我が家の狭い駐車スペースに鎮座することになったのは、フォルクスワーゲンのup!である。まさか自分が(決して高価ではないが)輸入車のオーナーになろうとは、買い換えの検討を始めた頃には思いもしなかった。

 ただし断っておくが、何も見栄やハッタリで“外車”を購入したのではない。そもそもベンツやBMWならともかく、フォルクスワーゲン(しかもエントリークラス)ごときでは見栄も張れない(爆)。単に欲しいものを探していると、いつの間にかこのクルマに行き着いてしまったというのが実情だ。



 当初私がコンパクトカーに求めていた“条件”というのは、以下の3点である。

1.燃費が良いこと。
2.運転がしやすいこと(特に小回りがきくこと)。
3.そこそこ走りが良いこと。

 予算内で収まりそうなクルマをいろいろと試乗してみたが、以上3点をクリアする国産コンパクトカーは見当たらなかった。マツダのデミオ(スカイアクティブ仕様)はアクセルを盛大に踏み込まないと思うように動いてくれず、ドライバーの負担が大きくなるので却下。ホンダのフィットは前方の視認性が悪く、スズキのスイフトは小回りがきかない(燃費もそれほど良くないと聞いた)。

 三菱のミラージュは燃費が良く操作性も悪くないが、平凡な走りは如何ともしがたい。トヨタのヴィッツおよびパッソは非力なドライブ性能ばかりが目に付き、どうしてこんなのがある程度売れているのか首を傾げるばかりだ(なお、日産のノートとスズキのスプラッシュは寸法面で折り合わないため試乗していない)。

 対してup!は“条件”をすべて満たしている。もっとも“up!に搭載されているセミATは扱いにくいので、上記「2」の項目をクリアしていないのではないか”という突っ込みが入るのかもしれないが、これは単なる“慣れ”のレベルで対処できる。オートマ限定で免許を取った者ならば別かもしれないが、マニュアルトランスミッションに接したことがあれば、苦労なく運転できるようになるまでそう時間はかからないと思う。



 ただしマニュアル方式の応用形である以上、独特のギアチェンジの感触とは別にオートマティック車とは異なる配慮が必要だ。まずこのクルマは上り坂で発進しようとすると、後ろに下がる(ことがある)。自動車学校で習った坂道発進の要領で対処しなければならない。特に注意が必要なのは、下り坂(緩い下り勾配も含む)でバックする時である。アクセルから足を離すと、車は前方に移動してしまう。場合によっては危険だが、こういう事態になるのはかつてのマニュアル車ならば“よくある話”であり、ドライバーにはそれに対応した運転が要求される。

 このような“通常のオートマティック車とは違う点”を認識さえすれば、up!は同クラスの国産車とは一線を画したクォリティを持つモデルであることが分かるだろう。とにかくこのクルマに乗っていると、コンパクトカーを選ぶ際に挙げられる上記3つの“条件”に“楽しく運転出来ること”という項目を付け加えたくなる。それほどにup!を転がすのは面白い。

 ステアリングの直進走行感が良いというのは最初に試乗したときのアーティクルでも触れたが、高速道路ではその持ち味が存分に発揮される。とにかく“滑るように”走るのだ。乗り心地はとてもリッターカーとは思えないほど上質で、同排気量のミラージュに大差を付ける。ハンドリングは小気味良く、ボディ自体の剛性感も相まって、実に手堅くドライバーの手足となって動いてくれる。

 重視していた小回りの良さも及第点で、Uターンする際も驚くほど小さく回れる。エンジン音などは“値段なり”であり、急峻な山道をハイスピードで走破するといった使い方には向いていないが(笑)、三気筒の小型車に多くを望むのは無理な話だ。そんなことよりも基本的な走行性能の高さが強く印象付けられる。まさに“Das Auto(これぞクルマ)”という雰囲気をリーズナブルな価格で味合わせてくれる、このモデルの商品価値は高い。

(この項つづく)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

Trending Articles