Quantcast
Channel: 元・副会長のCinema Days
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

FOCALのスピーカーを聴いてみた。

$
0
0
 先日、ディーラーにてFOCALのスピーカーを試聴したのでリポートしたい。FOCALは79年設立。フランスのロアール県にあるサンテティエンヌを本拠地に、商品開発はもちろん、ユニットから筐体まですべて自社製造しているという“メイド・イン・フランス”を地で行く大手メーカーだ。今回聴くことができたのは、同社が2017年秋に発表したフロアスタンディング型のScala Utopia Evoである。

 実を言えば、同社のスピーカーは過去に何度もショップやオーディオフェアの会場で聴いている。いかにもフランスらしい・・・・と書けば語弊はあるかもしれないが(笑)、色気のあるコッテリとした中高音と豊かな低域が特徴の、独特の魅力を持つブランドである。



 しかし、小型の機種では気にならないゆったりとした低音の出方が、フロア型になると低域過多になり、それに呼応して全帯域に渡って分解能が低下して定位が甘く聴こえるという難点があった。だから“FOCALはコンパクト型に限る”という認識を長らく持っていたのだが、今回リリースされたこの大型機種ではどのような展開になっているのか興味があった。

 一聴すると、懸念されていた欠点がほぼ解消されていることに驚く。全体的にタイトでフラットな印象になり、音像・音場ともにクリアだ。しかも、同社の特徴である豊かな色彩感はしっかりと踏襲されており、聴感上の物理特性と明るく艶のあるキャラクターとを両立させている優れものだと言える。接続していたLUXMANのアンプ類との相性も良好のようだ。

 また、FOCAL製品は上質のエクステリアを有しているが、本機も美しい仕上げと(複数のカラーが選べる)深みのある色合いが魅力的だ。デザインは好き嫌いが分かれるかもしれないが、個人的にはセンスが良いと思う。



 ただし、このモデルの定価は420万円である。一般ピープルには縁のない値付けだ。それに同価格帯の他社製品と聴き比べた場合、どれだけのアドバンテージがあるのか分からない。いずれにしろ、オーディオ製品(特にスピーカー)を選ぶ際は、徹底した試聴と比較検討が必要だろう。

 あと余談だが、デモとして再生されたソフトの中にJ-POPのナンバーが一曲あった。予想はしていたが、録音の悪さが表面化しており、居心地の悪い思いをした。しょせんは安価なミニコンポやDAPで聴くことを前提に作られた音源で、これをピュア・オーディオ・システムで鳴らすとアラが目立つのは仕方がないのかもしれない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

Trending Articles