(原題:BLACK PANTHER )特に高評価するような映画ではないが、ストーリーが破綻していないのは有り難い。最近は脚本のイロハも分かっていないような雑な筋書きのシャシンが幅を利かせ、それをまた不必要に褒める向きもあったりして脱力することが少なからずあるが、本作のように肩の凝らない娯楽映画であっても話の組み立てに無理がない事例に接すると、思わずホッとしてしまう。
中央アフリカにあるワカンダ王国は発展途上国だと思われているが、実はそこで産出される鉱石ヴィブラニウムを元にした、先進国を凌ぐ高度なテクノロジーを隠し持っていた。国王は代々ヴィブラニウムを悪用されないように、ワカンダの本当の姿を他国に知られないようにしてきた。また、国王はブラックパンサーと呼ばれる超人でもあり、そのパワーで国を守る役目も負っている。
先王の死去により後を継いだティ・チャラは、ヴィブラニウムを盗んだ武器商人のクロウを追う過程で、謎の男エリック・キルモンガーに遭遇する。キルモンガーはワカンダの王家と因縁のある出自らしいが、ある事情で成人するまで国外で過ごしてきたのだ。大きな野心と高い身体能力を持つキルモンガーは、国王の座をティ・チャラから奪い取ろうと画策する。
「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016年)でも登場したヒーローの“単独主演作”だ。マーヴェル作品ながら、他の“アベンジャーズ”映画のように“一見さんお断り”ではなく、これ一本で独立した娯楽編として仕立て上げられているので、幅広い層にアピール出来る点は評価して良い。
キルモンガーがなぜワカンダから遠く離れた場所で生まれ育ったのか、どうして凶暴な性格になったのか、そしてティ・チャラを付け狙う理由は何か、それらが平易な語り口で説明されている。悪役のプロフィールが描き込まれていれば、それだけ主人公の活躍も映えるのだ。
キルモンガーは一時は覇権を握るが、窮地からカムバックしたティ・チャラと大々的なバトルを展開する。ワカンダ王国はいくつかの“派閥”で構成されており、それぞれがどちらの側につくかは、単なる日和見では無く事情を抱えていることが示されるのもポイントが高い。
ライアン・クーグラーの演出は、バトル場面においてはあまり目新しいアイデアは提示していない。見かけはハデだが、凡庸だ。ただし、アフリカらしい野趣あふれる大道具・小道具、そして衣装、登場人物達の振る舞いは一見の価値がある。主役のチャドウィック・ボーズマンをはじめ、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、フォレスト・ウィテカーと、出演者の大半は黒人だが、皆良い味を出している。唯一の主要白人キャストであるマーティン・フリーマンも頑張っているし、ティ・チャラの妹に扮するレティーシャ・ライトは可愛い。
ルドウィグ・ゴランソンの音楽およびケンドリック・ラマーによる主題曲も悪くない。それにしても、これだけのハイテク技術を持っているワカンダ王国をバックにしたブラックパンサーがアベンジャーズに加わると、アイアンマンことトニー・スタークが主宰するスターク・インダストリーズの立場が危うくなるのではないかと、いらぬ心配をしてしまう(笑)。
中央アフリカにあるワカンダ王国は発展途上国だと思われているが、実はそこで産出される鉱石ヴィブラニウムを元にした、先進国を凌ぐ高度なテクノロジーを隠し持っていた。国王は代々ヴィブラニウムを悪用されないように、ワカンダの本当の姿を他国に知られないようにしてきた。また、国王はブラックパンサーと呼ばれる超人でもあり、そのパワーで国を守る役目も負っている。
先王の死去により後を継いだティ・チャラは、ヴィブラニウムを盗んだ武器商人のクロウを追う過程で、謎の男エリック・キルモンガーに遭遇する。キルモンガーはワカンダの王家と因縁のある出自らしいが、ある事情で成人するまで国外で過ごしてきたのだ。大きな野心と高い身体能力を持つキルモンガーは、国王の座をティ・チャラから奪い取ろうと画策する。
「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016年)でも登場したヒーローの“単独主演作”だ。マーヴェル作品ながら、他の“アベンジャーズ”映画のように“一見さんお断り”ではなく、これ一本で独立した娯楽編として仕立て上げられているので、幅広い層にアピール出来る点は評価して良い。
キルモンガーがなぜワカンダから遠く離れた場所で生まれ育ったのか、どうして凶暴な性格になったのか、そしてティ・チャラを付け狙う理由は何か、それらが平易な語り口で説明されている。悪役のプロフィールが描き込まれていれば、それだけ主人公の活躍も映えるのだ。
キルモンガーは一時は覇権を握るが、窮地からカムバックしたティ・チャラと大々的なバトルを展開する。ワカンダ王国はいくつかの“派閥”で構成されており、それぞれがどちらの側につくかは、単なる日和見では無く事情を抱えていることが示されるのもポイントが高い。
ライアン・クーグラーの演出は、バトル場面においてはあまり目新しいアイデアは提示していない。見かけはハデだが、凡庸だ。ただし、アフリカらしい野趣あふれる大道具・小道具、そして衣装、登場人物達の振る舞いは一見の価値がある。主役のチャドウィック・ボーズマンをはじめ、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、フォレスト・ウィテカーと、出演者の大半は黒人だが、皆良い味を出している。唯一の主要白人キャストであるマーティン・フリーマンも頑張っているし、ティ・チャラの妹に扮するレティーシャ・ライトは可愛い。
ルドウィグ・ゴランソンの音楽およびケンドリック・ラマーによる主題曲も悪くない。それにしても、これだけのハイテク技術を持っているワカンダ王国をバックにしたブラックパンサーがアベンジャーズに加わると、アイアンマンことトニー・スタークが主宰するスターク・インダストリーズの立場が危うくなるのではないかと、いらぬ心配をしてしまう(笑)。